「スワップ3倍デーは水曜」は半分しか正しくない|受渡日から2026年Q4を自前計算したらペアごとに曜日がズレた

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「スワップの3倍デーは水曜日」。FXをやっていると、まあ100回くらいは目にする話なんですよね。私もずっとそう覚えていました。

ただ、これ半分しか合っていないんですよ。正確には「水曜が3倍デーになるのは、T+2で受け渡しされる通貨ペアの、祝日がない週だけ」なんですけど、この但し書きがほぼどこにも書かれていない。

実際、2026年11月18日(水)は、ドル円が4日分・ユーロドルが3日分と、同じ水曜なのにペアで日数が割れます。そして同じ11月の25日(水)は、どのペアも0日分です。3倍デーどころか、ゼロ。

これ、別に業者が気まぐれでやってるわけじゃなくて、受渡日(バリューデート)の繰り延べという1本のルールから機械的に決まるんですよね。しかもそのルールは、必要なデータさえ揃えれば自分で計算できます。今回は理屈の導出から、実際に2026年10〜12月ぶんを自前計算した結果まで一気にやってみます。

POINT

この記事の数字は、業者のスワップ表を転記したものではありません。内閣府の祝日CSV・米連邦準備制度理事会(FRB)の休日表(K.8)・英国政府の銀行休業日データという一次データを取ってきて、受渡日のルールに当てはめて私が計算した結果です。計算に使った手順も後半に全部書いてあるので、自分の環境で再現できます。

そもそも、なぜ水曜が3倍になるのか

順番に行きます。FXのスポット取引には、「約定日の2営業日後に現物を受け渡す(T+2)」というルールがあるんですよね。私たちがやっている証拠金取引では実際に通貨を受け取ったりはしないんですけど、業者側はこのルールに沿って建玉をヘッジしているので、受渡日の概念だけはそのまま残っています。

で、スワップポイントの正体は「受渡日を1日先送りするための費用(または受取)」です。ここが一番大事なところなんですけど、意外と飛ばされがちなんですよ。

つまり、付与されるスワップの日数 = ロールオーバーで受渡日が何日ぶん動いたか。これだけなんです。この1行さえ押さえておけば、あとは全部カレンダーの引き算になります。

祝日のない普通の週で、実際に引き算してみましょう。

取引日 受渡日 翌取引日の受渡日 動いた日数=付与日数
月曜 水曜 木曜 1日
火曜 木曜 金曜 1日
水曜 金曜 月曜 3日
木曜 月曜 火曜 1日
金曜 火曜 水曜 1日
通常週(祝日なし)のT+2ペアの受渡日。水曜だけ金曜→月曜に飛ぶ

見ての通りなんですけど、水曜だけ受渡日が金曜から月曜へ3日ぶん飛びます。土日は銀行が閉まっていて受け渡しができないので、飛び越えるしかないんですよね。だから3日分。

「土日のスワップを水曜に前倒しで払っている」という説明をよく見ますけど、正確には前倒しでも何でもなくて、受渡日が物理的に3日動いているから3日分、というだけの話なんです。合計7日分が1週間に均等配分されずに1・1・3・1・1になる、それだけ。

POINT:「水曜3倍」と「木曜3倍」はどっちも正しい

検索していると「3倍デーは水曜」と「3倍デーは木曜」の両方が出てきて混乱するんですけど、これどちらも同じことを言っています。ロールオーバーが起きるのはNYクローズ(日本時間の朝6時または7時)なので、「水曜の取引日ぶんのロール」は「木曜の朝に口座へ反映」されるんですよ。NYの取引日で言うか、日本時間の付与される朝で言うかの違いだけです。ちなみに米国の夏時間は2026年11月1日(日)に終わるので、そこから反映時刻は朝6時→朝7時に1時間ずれます。

ズレる理由その1: USD/CADだけT+1なので、3倍デーが木曜になる

ここから本題です。まず1つ目の例外が、受渡日がT+2じゃない通貨ペア。

代表格がUSD/CADなんですよね。これだけはT+1、つまり翌営業日受渡なんですよ。理由は米国とカナダが地理的にも金融インフラ的にも近すぎて、2営業日も待つ必要がないから。歴史的な慣習がそのまま残っている形です。

で、T+1だと何が変わるか。さっきの引き算をT+1でやり直すと、こうなります。

取引日 受渡日(T+1) 翌取引日の受渡日 付与日数
火曜 水曜 木曜 1日
水曜 木曜 金曜 1日
木曜 金曜 月曜 3日
金曜 月曜 火曜 1日
T+1ペア(USD/CAD)は土日をまたぐのが木曜になる

受渡日が1日手前にズレているぶん、土日を飛び越える曜日も1日後ろにズレる。だからUSD/CADの3倍デーは水曜ではなく木曜なんです。

これ、日本の国内業者もちゃんと明記していて、ゴールデンウェイ・ジャパン(FXTF)のFAQには「1営業日後に受け渡しが行われるUSD/CADは、前金曜日に3日分付与されます」と書いてあります。付与日ベースの表記なので金曜になっていますけど、取引日ベースで言えば木曜のロールのこと。私の引き算と一致しますね。

注意

T+1なのはUSD/CADだけではなく、USD/TRY(トルコリラ)やUSD/RUB(ロシアルーブル)など、いくつかの通貨ペアが該当すると言われています。ただどのペアをT+1扱いにするかは業者ごとに違いますし、そもそも取り扱いがない場合もあるんですよね。複数の情報源で確認した限りではUSD/CADは共通してT+1扱いですが、それ以外のペアについては自分が使う業者のスワップ表・取引条件で必ず確認してください。

ズレる理由その2: 祝日は「受渡日そのもの」を動かす

そして本命がこっち。祝日なんですよ。

受渡日は「銀行が開いている日」にしか置けません。そして通貨ペアには通貨が2つあるので、受渡日はペアの両方の国で銀行が開いている日である必要があるんですよね。片方だけ祝日でもダメ。

これも国内業者がはっきり書いていて、FXTFのFAQには「外国為替の銀行間取引におけるルールに合わせ、関連国の祝日は『受渡日』が日数分繰り延べられる方式です」とあります。第一種金融商品取引業者が公開している説明なので、仕組みの裏取りとしては十分かなと。

で、ここが面白いところなんですけど。ドル円にとっての「関連国」はアメリカと日本、ユーロドルにとってはユーロ圏とアメリカです。見ている祝日カレンダーが違う。だから同じ水曜日でも、ペアによって受渡日の飛び方が変わるんですよ。これが「3倍デーがペアごとにズレる」の正体です。

カレンダーに印を付けて受渡日を確認するイメージ

2026年10〜12月を実際に計算してみた

理屈だけだとピンと来ないので、実データでやってみました。

使った祝日データは以下の3つ。全部一次ソースで、しかも機械可読な形式で公開されているので楽なんですよね。

  • 日本: 内閣府「国民の祝日」CSV(www8.cao.go.jp/chosei/shukujitsu/syukujitsu.csv)
  • 米国: FRB の休日表 K.8(federalreserve.gov/aboutthefed/k8.htm)
  • 英国: 英国政府の銀行休業日JSON(gov.uk/bank-holidays.json)

ユーロ圏はTARGET2(ユーロの決済システム)の休日、カナダはカナダ銀行の休日表を使っています。これを「両方の通貨で営業日である日を数えてT+2(またはT+1)」というルールに流し込むだけ。結果がこちらです。

取引日 USD/JPY EUR/USD GBP/USD USD/CAD 理由
10/7(水) 4日 4日 4日 1日 10/12が日・米・加すべて祝日
10/9(金) 0日 0日 0日 0日 同上(受渡日が動かない)
10/29(木) 2日 1日 1日 3日 11/3 文化の日(日本のみ)
11/10(火) 0日 0日 0日 0日 11/11 ベテランズデー(米)
11/18(水) 4日 3日 3日 1日 11/23 勤労感謝の日(日本のみ)
11/24(火) 3日 3日 3日 2日 11/26 感謝祭(米)
11/25(水) 0日 0日 0日 0日 同上(3倍デーが火曜へ前倒し)
12/22(火) 4日 4日 5日 1日 英は12/25と12/28が連続で休み
12/23(水) 1日 1日 1日 5日 加も12/25と12/28が休み
2026年Q4のうち、通常パターン(水曜3日・他1日、USD/CADは木曜3日)から外れた日だけを抜き出したもの。筆者が一次データから計算

けっこう荒れてるんですよね。順に見ていきます。

11/18(水): ドル円だけ4日分になる

この記事の看板にした日です。11月23日(月)が勤労感謝の日で、日本だけが休みなんですよ。

ドル円の場合、11/19(木)の受渡日を決めようとすると「金曜(11/20)で1営業日、月曜(11/23)は日本が休みなので飛ばして、火曜(11/24)で2営業日」となって11/24。一方11/18(水)の受渡日は11/20。11/20から11/24で4日分です。

ところがユーロドルは日本の祝日を見ないので、11/19(木)の受渡日は素直に11/23。11/20からだと3日分。

同じ水曜、同じ時刻のロールオーバーで、ドル円だけが1日多く払う(または受け取る)。ここが理屈だけ聞くと「へえ」で終わるんですけど、実際に数字で並べると結構インパクトあるなと思ったんですよね。

11/24(火)・11/25(水): 3倍デーが火曜に引っ越す

そして個人的に一番びっくりしたのがこの2日。

11月26日(木)は米国の感謝祭(Thanksgiving)で、ドルが絡む全ペアの受渡日が動きます。計算するとこうなるんですよ。

  • 11/24(火)のロール → 受渡日が11/27から11/30へ、3日分
  • 11/25(水)のロール → 受渡日が11/30のまま動かず、0日分

この週は、水曜ではなく火曜が3倍デーです。そして「絶対に3倍が付く」と思われている水曜は、逆にゼロ。

スワップ目当てで水曜をまたぐポジションを組んでいる人が、この週だけ何も受け取れずに「え?」となるパターンですね。逆に払う側なら、水曜またぎがタダになる週でもあります。

「0日分」が普通に発生するのが地味に重要

表を見てもらうと分かるんですけど、0日分のロールが四半期で4回もあります。10/9、11/10、11/25、そして12/24。

これ、意外と知られていない気がするんですよね。「スワップは毎日付く」と思い込んでいると、明細を見たときに「付与漏れ?」と勘違いします。でも受渡日が動いていないんだから、0で正しいんですよ。

祝日で損したり得したりするわけではない

ここまで読むと「祝日を狙えば得できるのでは?」と思うかもしれないんですけど、残念ながらそうはならないんですよね。

計算結果を四半期で合計してみたところ、こうなりました。

通貨ペア 2026年Q4の付与日数合計
USD/JPY 91日
EUR/USD 91日
GBP/USD 91日
USD/CAD 91日
10/1〜12/31の全ロールを合計した結果。祝日構成が全く違うのに4ペアとも一致する

全ペア、きっちり91日分で一致しました。10月1日から12月31日までは91日なので、カレンダー日数ともぴったり合っています。

要するに、祝日は3倍デーの「位置」を動かすだけで、「総額」は増えも減りもしないということなんですよね。受渡日は結局きっちり前に進むので、どこかで4日分取られた週は、別のどこかで0日分の週が来て相殺される。

これ、計算する前は正直「どっちかに偏るんじゃないか」と思っていたので、4ペアとも同じ数字が出たときは自分の計算が合っている証拠にもなって、ちょっと嬉しかったんですよね。逆に言えば「祝日スワップ狙い」みたいな手法は成立しないということでもあります。効いてくるのは、あくまで短期でポジションを持つときのタイミングだけ。

POINT: やってみて分かった落とし穴

最初、私は米国の祝日リストを適当なまとめサイトから持ってきて計算したんですけど、数字が合わなくて1時間くらい溶かしました。原因は単純で、そのサイトが「独立記念日が土曜のときの振替休日」を勝手に足していたんですよね。FRBの公式表(K.8)を見たら、土曜に当たる祝日は前日の金曜も連銀は開いていると注記されていました。祝日データだけは絶対に一次ソースから取る。これが今回一番の学びだった気がします。

自分で計算してみたい人向けの手順

難しそうに見えるんですけど、やることは3ステップだけなんですよ。

  1. 2通貨ぶんの祝日リストを一次ソースから集める(日本は内閣府CSV、米国はFRBのK.8、英国はgov.ukのJSON。いずれも無料で機械可読)
  2. 「土日でも、どちらかの国の祝日でもない日」を営業日と定義する
  3. 各取引日から営業日を2つ(USD/CADなら1つ)進めた日を受渡日とし、翌取引日の受渡日との差を取る → それが付与日数

ポイントは手順2で、「どちらかの国が休みならアウト」というOR条件にすること。ここをAND(両方休みの日だけ除外)にすると全然違う答えが出ます。私も最初ここを間違えました。

表計算ソフトでも組めますけど、祝日の集合演算があるのでプログラムで書いたほうが素直だと思います。数十行で済みますし、一度書いてしまえば通貨ペアと年を差し替えるだけで使い回せるんですよね。

注意: 計算結果と業者の実際の付与は一致しないことがあります

この記事の数字はあくまで銀行間取引の標準ルールに沿った理論値です。実際の付与日数は業者の実装に依存します。特にコロンバスデー(10/12)とベテランズデー(11/11)は要注意で、この2日は米国の株式市場は開いているのに連銀の決済システムは止まる「半端な祝日」なんですよ。ここをカレンダーに入れるかどうかで答えが変わるので、業者ごとに一番割れやすいポイントだと思います。大きめのポジションを週またぎで持つ予定があるなら、事前に業者のスワップカレンダーやサポートで確認してください。

スワップを気にするなら、業者選びで見るべきところ

ここまで日数の話をしてきましたけど、当然ながら1日あたりのスワップ値そのものも業者によってけっこう差があるんですよね。日数が同じでも単価が違えば結果は変わるので、両方見ないと意味がないです。

スワップを意識して業者を選ぶなら、私は次の3点を見るようにしています。

  • スワップ値が事前に公開されているか — 取引ツール内でしか見られない業者だと、口座を開くまで比較できないんですよね
  • 祝日週の付与予定がアナウンスされるか — 今回見たような変則週を事前に告知してくれるかどうか
  • 口座タイプごとの違いが明記されているか — スプレッド重視の口座はスワップ条件が別扱いになっていることがあります

この観点だと、Exnessは通貨ペアごと・口座タイプごとのスワップ条件を公式サイト上で確認できるようにしてあるので、事前に比べやすいほうだと思います。スワップフリー(イスラム口座)の扱いについても条件が公開されているので、そもそも日数計算が関係ないスタイルで組みたい人にも選択肢になるかなと。

ただスワップ値は金利情勢で日々動きますし、条件も予告なく変わることがあるので、最新の数値は必ず公式サイトで確認してください。この記事の内容は仕組みの理解に使っていただいて、実際の判断は最新情報でお願いします。

FX取引はレバレッジを用いた取引であり、預けた資金(元本)を上回る損失が生じる可能性があります。本記事は情報提供を目的としたものであり、投資を勧誘するものではありません。取引を行う際は自己責任・余裕資金の範囲で行い、各社公式サイトで最新のリスク説明書・規約を必ずご確認ください。

まとめ

長くなったので、要点だけ並べておきます。

  • スワップの日数 = ロールオーバーで受渡日が動いた日数。これが全ての土台なんですよね
  • 水曜3倍はT+2ペアの、祝日がない週だけの話。USD/CADはT+1なので木曜が3倍デー
  • 受渡日は両方の通貨の国が営業日である必要があるので、片方だけの祝日でもズレる。だから同じ水曜でもペアで日数が割れる
  • 2026年Q4を計算すると、11/18(水)はドル円4日・ユーロドル3日、感謝祭週は3倍デーが火曜に前倒しで水曜は0日になります
  • 四半期合計はどのペアも91日で一致。祝日は位置を動かすだけで、総額は変わりません
  • 計算は一次ソースの祝日データさえ揃えれば自分でできます。ただし業者の実装とは食い違うことがあるので、最終確認は各社の情報で

正直、調べる前は「水曜3倍」で思考停止していたんですけど、受渡日という一本の軸で見直すと全部同じルールの結果だったんですよね。こういうの、腑に落ちると気持ちいいなと思います。

週またぎでポジションを持つことが多い人は、せめて自分が触る通貨ペアの関連国の祝日だけでもカレンダーに入れておくと、明細を見て慌てることが減るんじゃないかなと思います。