ドル円の「今週の方向」は月曜に決まるのか(26年・1,132週を数えたら、一致率64.8%は順番をシャッフルしても64.6%でした)

本記事はプロモーションを含みます。掲載している海外FX業者のリンクから口座開設等が行われた場合、当サイトが提携先企業から成果報酬を受け取ることがあります。

「今週は上目線」「月曜の動きで今週の方向が見えた」みたいな言い方、SNSでもよく見かけるんですよね。私も昔はけっこう信じてました。週の頭の動きで方向を決めて、あとはその方向に乗っかるだけ、みたいな。

でもこれ、本当に月曜の時点で分かってるんでしょうか。それとも、終わってから振り返って「やっぱり月曜が効いてたね」と言ってるだけなんでしょうか。気になったので、ドル円の26年分を全部数えてみました。

何を測ったか

使ったデータはFRB(米連邦準備制度理事会)のH.10統計です。ニューヨーク正午の為替レートを毎営業日1本ずつ公表している、米国中銀の一次データなんですよ。2000年1月3日から2026年10月23日まで、6,722営業日ぶんあります。

これを「週」という箱に切り直しました。箱の左端は前週の最後の値、右端は今週の金曜の値です。そのうえで、

  • 月曜まででプラスだった週は、金曜もプラスで終わったか?
  • 月火まででプラスだった週は、金曜もプラスで終わったか?
  • 月火水まででは? 月〜木まででは?

という一致率を数えています。祝日などで月〜金の5営業日がそろわない週は、途中経過の定義がブレるので主集計から外しました。残ったのが1,132週です(除外は266週)。

POINT

1,132週のドル円は、1週間でだいたい91.0pips動いていました(絶対値の中位数。平均は118.8pips、最大は876.0pips)。上昇で終わった週は52.3%で、ほぼ半々なんですよね。

月曜で64.8%一致。でも順番をシャッフルしても64.6%でした

まず素直に数えた結果がこれです。

時点 週の符号と一致 順番シャッフル時 差
月曜まで 64.8% 64.6% ±1.3 +0.2pt
月火まで 69.8% 72.3% ±1.2 -2.5pt
月火水まで 77.5% 79.3% ±1.1 -1.8pt
月〜木まで 85.1% 86.3% ±0.9 -1.2pt

左の列だけ見ると、わりとすごく見えません? 月曜の方向が当たる確率が64.8%、水曜まで待てば77.5%。「やっぱり週の前半で決まってる」って言いたくなる数字なんですよね。

でも、ここで一つ意地悪な実験をしました。同じ週の中身はそのままに、日々の値動きの「順番」だけをシャッフルしたんです。月曜に出た値動きを木曜に、金曜の値動きを月曜に、みたいに入れ替える。これを1週ずつ、2,000回繰り返しました。

同じ週の値動きの順番だけを入れ替える検証のイメージ

順番を壊せば「月曜に出た」という情報は消えます。それでも一致率が同じなら、64.8%という数字は予測が当たっているんじゃなくて、ただの足し算の都合ということになるんですよ。月曜の値動きは週の合計の一部ですからね。合計の一部と合計の符号が揃いやすいのは、当たり前なんです。

結果は右2列の通りで、シャッフルしても64.6%。実測との差はわずか+0.2ptで、ブレ幅(±1.3)の中に完全に収まっています。月曜という曜日に、固有の情報は乗っていませんでした。

ちなみに月火まで・月火水までは、実測のほうがシャッフルより低いんですよね。つまり「週の前半に動いた分が後半に少し戻される」傾向がうっすらあるということで、少なくとも「前半の勢いが後半も続く」の逆です。差は2.5pt前後なので強く主張する気はないんですけど、方向だけは覚えておいていいと思います。

「残り」だけ取り出すと、きれいに五分五分

もっと直接的な聞き方もしてみました。最初のk日の方向を知ったうえで、そこから先(残りの日)はどっちに動いたかです。これが50%なら、途中経過には何の情報もないことになります。

知っている情報 残りも同方向だった割合 残りの平均変動(±1σ)
月曜までの方向 50.2% -0.96pips ±4.31
月火までの方向 50.0% +1.12pips ±3.82
月火水までの方向 51.5% -0.22pips ±3.24
月〜木までの方向 50.8% +2.23pips ±2.25

見事に50%台前半なんですよね。平均変動のほうも、全部±1σ(誤差の目安)より小さいです。月曜の方向に乗って金曜まで持ったときの残りの期待値はマイナス0.96pips、誤差は±4.31pips。マイナスだからといって逆張りが有利という話でもなくて、要するにゼロと区別がつかない、というのがこの26年分の答えです。

1ロット(10万通貨)で換算すると平均マイナス96円、ブレが±431円。スプレッドもスワップもまだ引いていない状態でこれなので、コストを乗せたら普通に負け越す側に倒れます。

それでも信じたくなるのは、年ごとのブレが大きいから

じゃあなんでこの通説が生き残っているのか。年別に割ってみたら、理由がよく分かりました。

月曜までの一致率は、年によって55.0%〜85.7%まで振れます(幅30.7pt)。たとえば2011年は85.7%でした。その年だけ見ていたら、誰だって「月曜で決まる」と確信すると思うんですよね。逆に2017年は55.0%です。

注意

1年ぶんの週は40週ちょっとしかありません。この程度のサンプル数だと、同じコインを投げても一致率は簡単に20〜30pt動きます。「去年は効いてた」は、効いていた証拠にならないんですよ。

逆転した週ほど、大きく動く

ここがいちばん実務的かもしれません。月曜の方向が最終的にひっくり返った週は392週・全体の34.6%ありました。3週に1週です。

問題はその中身で、逆転週の月曜時点の値幅は中位数25.0pips。それに対して最終的な週の値幅は中位数75.0pipsなんですよ。つまり、小さく騙されて大きく持っていかれる形になりやすい。最大級の例だと、2020年3月9日の週は月曜時点で279pips下げていたのに、金曜には前週末比プラス184pipsで終わっています。

ついでに言うと、週の中で値動きが大きいのは後半です。1日の変動幅の中位数は月曜35.0pips・火曜35.0pips・水曜36.0pips・木曜37.0pips・金曜39.0pips。月曜がいちばん小さいんですよね。小さい材料で方向を決めて、大きい日をその方向で持ち続ける、というのは構造的にあまり良くないと思います。

ドル円だけの話じゃありません

念のため、同じH.10で取れる他の6通貨ペアでも同じ集計をしました。

ペア 月曜まで一致 月曜後の継続率
USD/JPY 64.8% 50.2%
EUR/USD 63.1% 51.3%
GBP/USD 62.7% 48.6%
AUD/USD 62.5% 48.7%
NZD/USD 62.7% 50.6%
USD/CHF 64.5% 50.9%
USD/CAD 63.0% 51.0%

右の列が全部48.6%〜51.3%に収まっています。7ペア中1つくらい外れてくれたほうが記事としては面白かったんですけど、見事に全滅でした。通貨ペアを変えれば効く、という逃げ道も無さそうです。

じゃあ週の前半の情報はどう使うのか

「方向の予測には使えない」というだけで、使い道がゼロという意味ではないと思っています。私がこの集計をやってから変えたのは、週またぎの持ち方のほうなんですよ。

週の値幅の中位数が91pipsで、しかも後半のほうが大きい。方向が読めない以上、週の前半に建てたポジションを「方向が出たから」という理由だけで金曜まで引っ張るのは、根拠なく保有時間だけ伸ばしていることになります。保有時間が伸びればスワップも手数料も積み上がりますし、週をまたげば3倍デーも絡んできます。

このあたりのコストは業者ごとにけっこう差が出るところなので、口座のスペックは一度ちゃんと見ておいて損はないと思います。

この集計の限界

正直に書いておきます。H.10は1日1本、ニューヨーク正午のレートです。だからここで言っている「月曜まで」は厳密には月曜正午までで、本物の週足の始値・終値とは一致しません。日中の高値安値やヒゲ、窓の大きさもこのデータでは測れないんですよね。

また、測ったのは符号(方向)だけです。「月曜に◯pips以上動いたら」みたいな条件を足せば、違う結果になる可能性は残っています。そこまでは今回検証していません。

あと、5営業日そろわない祝日週を外した件ですが、その266週を別に数えたら初日の一致率は66.7%で、主集計の64.8%とほぼ同じでした。除外したことで結論が変わってはいないです。

FX取引はレバレッジを用いた取引であり、預けた資金(元本)を上回る損失が生じる可能性があります。本記事は情報提供を目的としたものであり、投資を勧誘するものではありません。取引を行う際は自己責任・余裕資金の範囲で行い、各社公式サイトで最新のリスク説明書・規約を必ずご確認ください。

まとめ

  • ドル円26年・1,132週で、月曜までの方向と週全体の方向の一致率は64.8%
  • ただし日々の値動きの順番をシャッフルしても64.6%。差は+0.2ptで、月曜固有の情報は検出できなかった
  • 「残りの日」だけ取り出すと継続率は50.2%、平均-0.96pips ±4.31でゼロと区別がつかない
  • 年別の一致率は55.0%〜85.7%と大きく振れる。1年ぶんの体感はあてにならない
  • 月曜の方向がひっくり返る週は34.6%。しかもその週は最終的に中位数75.0pipsまで伸びる
  • 他6通貨ペアの継続率も全部48.6〜51.3%で、同じ結論

「今週の方向」は、週が終わってから初めて分かるものだった、というのが26年分の正直な答えでした。月曜の動きを見て気分が決まるのは分かるんですけど、それを根拠扱いするのはやめておこうと思います。

データ出典: FRB H.10 Foreign Exchange Rates(2026年10月26日リリース版、2026年10月31日取得)。集計スクリプトはサイト運営用リポジトリに保存しています。