こんにちは、瀬名ハルカです。今日(2026年9月16日)はFOMCの2日目なんですけど、正直なところ「利上げするかどうか」はもうほとんど勝負がついてるんですよね。
金利先物が織り込む25bp利上げの確率は、9月15日時点で92.3%。ここまで来ると、利上げそのものはサプライズになりません。じゃあ何で値が動くのかというと、同時に出てくるドットチャート(SEP)と、そのあとの議長会見なんですよ。
で、このドットチャート、意外と仕組みを誤解されてるなと思っていて。今日は「中央値って実は1人動くだけで25bp跳ぶことがある」という話を、実際に数字を並べて確かめてみます。
まず、いま相場がどこにいるか
先に事実関係だけ整理しておきますね。複数の情報源で確認した限りでは、直近の状況はこんな感じです。
- 米10年債利回りが一時5.02%台(9月15日)。これは2007年7月以来の水準なんですよね
- ドル円は一時155円台にタッチ。一方で先週は152.887円の安値もつけていて、152円台〜155円のレンジで綱引きが続いている状態
- そもそも今年の高値は163円台で、そこから見ればまだ深い調整の途中という位置づけ
- 現行のFF金利誘導目標は3.50〜3.75%
面白いのは織り込みの動き方でして。25bp利上げの確率って、9月7日時点では約6割だったんですよ。それが9月11日には約87%、9月15日には92.3%。1週間ちょっとで6割→9割まで走ったわけです。金利が5%台に乗ったのも、この織り込みの変化とセットで見るのが自然なんですよね。
POINT
織り込みが9割を超えている、というのは「利上げしたら上がる」を意味しません。むしろ逆で、利上げは織り込み済みなので、動くとしたら据え置きだった場合か、利上げ後の見通しが想定とズレた場合です。
今夜の時間割(日本時間)
FOMCは米国時間の9月15〜16日の2日間開催で、結果が出るのは日本時間だと未明です。今週は日銀もあるので、まとめて並べておきますね。
| 日時(日本時間) | 何が出るか |
|---|---|
| 9/17(木) 3:00 | FOMC声明 + SEP(ドットチャート)が同時公表 |
| 9/17(木) 3:30 | FRB議長(ウォーシュ氏)の記者会見 |
| 9/18(金) 8:30 | 日本の8月全国CPI |
| 9/18(金) 昼前後 | 日銀 金融政策決定会合の結果 |
| 9/18(金) 午後 | 植田総裁の記者会見 |
ポイントは、3:00と3:30で情報が2回に分けて出てくることなんですよ。声明とドットは同時に出るので3:00で一度動いて、その解釈を議長が喋る3:30でもう一度動く。「1回で終わり」と思って待っていると、2回目で梯子を外されることがあります。
本題:今日の主役は「点」のほう
ドットチャートというのは、FOMCの参加者ひとりひとりが「政策金利はこの水準が適切だと思う」という点を打った散布図です。SEP(経済見通し)の一部として年4回だけ公表されます。2026年だと3月・6月・9月・12月の会合が該当していて、今回がその9月分なんですよね。
参加者は原則19人(FRB理事7人+地区連銀総裁12人)。欠員があればその分減ります。で、みんなが注目するのは中央値です。平均じゃなくて中央値。ここが今日の話の肝なんですよ。
自前計算①:9月に上げた瞬間、6月の中央値を追い越す
まず、今回のSEPが何を意味するのかを押さえておきます。前回(6月)のドットチャートの中央値は、複数の情報源で確認した限りこうでした。
| 時点 | 6月SEPの中央値 |
|---|---|
| 2026年末 | 3.75% |
| 2027年末 | 3.625% |
| 2028年末 | 3.375% |
ここで現状と突き合わせてみます。いまの誘導目標は3.50〜3.75%、中央の値で言うと3.625%。ここで25bp上げると3.75〜4.00%(中央の値で3.875%)になるんですよね。
つまり今夜25bp上げた時点で、6月に示された「2026年末の中央値3.75%」をもう追い越してしまうわけです。だから今回のSEPで2026年末の点がどこに置き直されるかが、そのまま「年内にあと何回あるのか」という話になります。
FRBの公式カレンダーで確認すると、9月のあとに残っている2026年の会合は10月27〜28日と12月8〜9日の2回だけ(SEPが付くのは12月)。なので、こう読めます。
| 今回の2026年末中央値 | 9月利上げ後(3.875%)との差 | 読み取れる意味 |
|---|---|---|
| 3.875% | ±0 | 年内は今夜で打ち止め |
| 4.125% | +25bp | 10月か12月にあと1回 |
| 4.375% | +50bp | 残り2回とも上げる想定 |
「利上げしたかどうか」より、この表のどこに着地するかのほうが情報量が多いんですよ。ちなみに市場の事前予想としては「年内あと1回(=今夜含めて2回)、2027年は据え置き、2028年に利下げ」という見方が出ていました。上の表で言えば4.125%のラインですね。ここからズレるとサプライズになりやすい、という整理になります。
自前計算②:中央値は「真ん中の1人」で決まる
ここからが本題なんですけど、中央値って端っこが何人動いても変わらないんですよ。19人なら、小さい順に並べて10番目の点がそのまま中央値になります。
言葉だと分かりにくいので、仮の分布を置いて実際に数えてみますね。2026年末の点が3.875%・4.125%・4.375%の3か所に散らばっているとして、人数を動かしてみます。
| ケース | 3.875% | 4.125% | 4.375% | 中央値(10番目) |
|---|---|---|---|---|
| 基準 | 10人 | 7人 | 2人 | 3.875% |
| 境目の1人が上へ | 9人 | 8人 | 2人 | 4.125%(25bp跳ぶ) |
| タカ派2人がさらに上へ | 10人 | 5人 | 4人 | 3.875%(動かない) |
| ハト派1人が3.625%へ下げ | 9人 | 7人 | 2人 | 3.875%(動かない) |
※どのケースも合計19人。4行目は3.625%に1人移った想定です。
見ての通りなんですけど、1人が25bp上に動いただけで中央値が丸ごと25bp跳ぶケースがある一方で、タカ派が2人もっとタカ派になっても中央値はびくともしないんですよね。ここ、けっこう大事だと思っていて。
翌朝のニュースで「ドットチャートの中央値が25bp上方修正」という見出しを見ると、なんとなくFOMC全体が大きくタカ派に傾いたように読めちゃうじゃないですか。でも実際には、境目にいた1人が点をひとつ上に置き直しただけかもしれない。逆に7人がタカ派に動いていても、見出しには一切出てこないことがあるわけです。
注意
上の表は「中央値という指標の性質」を確かめるために私が置いた仮の数字であって、実際の分布の予想ではありません。中央値が動いた=相場が動く、でもありません。市場が事前に織り込んでいた水準と一致していれば、中央値が上がっても反応が薄いこともあります。
ちなみに、6月の「3.75%」がきりの悪い数字だった理由
細かい話なんですけど、気づくと少し見方が変わるので書いておきますね。
参加者が打てる点は、政策金利のレンジの真ん中の値です。3.625%、3.875%、4.125%……というふうに、25bp刻みで並びます。3.75%という値はこの目盛りの上に存在しないんですよ。
じゃあ6月の中央値がなぜ3.75%になったのかというと、真ん中2人の平均だと考えるのが自然です。参加者数が偶数(欠員などで18人)だと、真ん中が2つできるので、3.625%と3.875%の間を取って3.75%になる。2027年の3.625%、2028年の3.375%はちゃんと目盛りの上に乗っているので、2026年だけが割れていたという読み方ですね。
これ、何が言いたいかというと、6月時点で2026年末は意見がきれいに真っ二つだったということなんです。そういう状態から今回どちらに寄ったのかを見ると、数字のインパクト以上のものが読めると思うんですよね。
じゃあ、実務としては何をするか
ここまでは読み方の話なんですけど、実際にポジションを持っている側としてやることはわりとシンプルです。私が今週やっている手順を並べておきますね。
- 3:00と3:30を別々のイベントとして扱う。1回目で落ち着いたように見えても、会見でもう一度動く前提でおく
- 跨ぐなら、跨げるロットまで落とす。ロットを下げるのが一番手っ取り早くて確実な調整なんですよね
- 逆指値の位置を、直近の値幅ではなくイベント後の値幅で置き直す。普段の値動きを基準にしたストップは、こういう日はかすっただけで刈られます
- スプレッドの前提を変えておく。発表直後と早朝は普段の何倍にもなり得るので、平常時のコスト感で損益分岐を考えない
- 証拠金維持率に余白を作る。とくに今週は木曜未明のFOMCと金曜の日銀が連続するので、片方で削られた状態でもう片方を迎える形になりがちです
正直、イベント前にできることってこのくらいなんですよ。「当たるかどうか」ではなく「外したときに残っているかどうか」に寄せる、という話だと思っています。
あと、こういう週こそ口座側の条件を一度見直しておくといいと思います。発表直後のスプレッドの広がり方や約定の挙動は業者ごとに差が出やすいところなんですよね。私自身、指標が集中する週は「そもそもこの口座タイプで持ち越すのが妥当か」を確認するようにしています。
今後の注目ポイント
FOMCが終わっても今週は終わらないんですよね。むしろ本番は2つ目のほうかもしれません。
日銀の金融政策決定会合は9月17〜18日で、結果は9月18日(金)。現在の政策金利は1.0%程度で、複数のメディアが関係者の話として0.25%引き上げて1.25%程度とする方針と報じています。市場が織り込む9月利上げの確率も8〜9割と伝えられていて、日米そろって「織り込み済みのイベント」という構図なんですよ。
しかも同じ18日の朝8時半には8月の全国CPIも出ます。日銀の判断とCPIの数字が数時間差で並ぶので、金曜の午前中は材料が渋滞します。FOMCの余韻が残っているところに来るので、木曜の夜の時点でポジションをどう整理しておくかは、先に決めておいたほうがいいと思うんですよね。
POINT
日米どちらも「上げる」こと自体は相当織り込まれています。だから注目されるのは、FRB側はドットチャートと会見、日銀側は総裁会見のトーンと次回以降の示唆のほう。決定そのものより、その先をどう語るかで振れやすい構図です。
リスクについて
FX取引はレバレッジを用いた取引であり、預けた資金(元本)を上回る損失が生じる可能性があります。本記事は情報提供を目的としたものであり、投資を勧誘するものではありません。取引を行う際は自己責任・余裕資金の範囲で行い、各社公式サイトで最新のリスク説明書・規約を必ずご確認ください。
なお本記事の数値は、執筆時点(2026年9月16日)で複数の情報源を突き合わせて確認したものです。金利見通しや織り込みは時間とともに変わりますし、日程・発表時刻も変更される可能性があるので、最新の情報は必ず公式の発表やお使いの業者の経済指標カレンダーでご確認ください。
まとめ
今夜のFOMC、「利上げするか」の答え合わせはもうほぼ終わっていて、本当の見どころはドットチャートなんですよね。今日押さえた内容をもう一度並べておきます。
- 25bp利上げの織り込みは9月15日時点で92.3%。9月7日の約6割から一気に走った
- 25bp上げると誘導目標は3.75〜4.00%になり、6月SEPの2026年末中央値3.75%を追い越す
- だから今回の2026年末中央値が3.875%か4.125%かで、「年内打ち止め」か「あと1回」かが分かれる
- 中央値は平均ではないので、境目の1人が動くだけで25bp跳ぶこともあれば、タカ派が複数動いても変わらないこともある
- 6月の中央値が3.75%という目盛りにない値だったのは、真ん中2人の平均=意見が割れていたと読むのが自然
- 日本時間9/17 3:00(声明+SEP)と3:30(会見)は別々のイベントとして扱う。9/18には日銀とCPIが控えている
数字の読み方が分かっていると、発表直後の見出しに振り回されにくくなります。私自身、こういう日は「相場を当てにいく」より「読み間違えないようにする」ほうにコストを使ったほうが結果的に楽だな、と感じているんですよね。
