海外FXのロスカット計算は式1本で足りる|業者ごとに違う「水準」を統一して、ロスカット価格の早見表にした

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ポジションを持ったあとに「これ、どこまで下がったら強制決済されるんだっけ」って考え始めること、ありませんか。私はけっこうあるんですよね。

で、調べると「証拠金維持率が20%を切ったらロスカットです」みたいな説明が出てくるんですけど、正直これ、チャートを見ている最中には1ミリも役に立たないんですよ。だって私が知りたいのは「維持率」じゃなくて「何円まで下がったら飛ぶのか」という、チャートに線が引ける具体的な数字なので。

今回はそこを埋めます。業者ごとにバラバラな「ロスカット水準」の定義をまず式1本に揃えて、そこからロスカット価格そのものを出す。ドル円で早見表も作りました。ちなみに計算の途中で、二次ソースにはあまり書かれていない条項をXSの約款から見つけたので、そこも後半で触れます。

まず、言葉の定義を1本に揃えるところから

海外FX業者って、同じものを違う名前で呼ぶんですよね。「ロスカット」「強制ロスカット」「ストップアウト」、全部同じ話です。日本語サイトだとロスカット、英語の約款だとstop-outと書かれていることが多い、くらいの違いしかないんですよ。

で、その基準になる「証拠金維持率」ですが、これは業者の気分で決まるものではなくて、ちゃんと契約書に定義が書いてあります。XS.comの顧客約款(Client Services Agreement、2026年6月版 v1.9)の定義集を読んでみたら、こう書いてありました。

POINT

Margin Level Means: (Equity / Margin) * 100

つまり 証拠金維持率(%) = 有効証拠金 ÷ 必要証拠金 × 100。同じ約款で Free Margin = Equity − Margin(余剰証拠金 = 有効証拠金 − 必要証拠金)とも定義されています。

これ、わざわざ約款を引っぱってきたのには理由があって。「分母は何か」を業者の公式文書で確認しておかないと、この先の計算が全部ズレるからなんですよね。分母は必要証拠金です。口座残高ではありません。ここを取り違えると桁が変わります。

用語もついでに揃えておきます。

用語 中身
有効証拠金(Equity) 口座残高 ± 現在の含み損益。刻一刻と動く数字
必要証拠金(Margin) そのポジションを持つために拘束されている金額
証拠金維持率 有効証拠金 ÷ 必要証拠金 × 100
ロスカット水準 維持率がこれを下回ると強制決済される%。業者・口座タイプごとに違う

ロスカット価格の式は、これ1本で足ります

定義が揃えば、あとは中学の連立方程式レベルなんですよ。ロスカットが発動する瞬間っていうのは「有効証拠金 = 必要証拠金 × ロスカット水準」になった瞬間なので、そこから逆算するだけです。

POINT

ロスカット価格 = 建値 ∓ (有効証拠金 − 必要証拠金 × 水準) ÷ 取引数量
(ロングなら「−」、ショートなら「+」。取引数量 = 10万通貨 × ロット数)

必要証拠金 = 建値 × 10万通貨 × ロット数 ÷ レバレッジ

業者が変わっても差し替えるのは「水準」の数字ひとつだけです。XMなら0.20、Exnessなら0を入れる。式そのものは一切いじらなくていいんですよ。ここが今回いちばん言いたかったところです。

実際に入れてみます。ドル円を155.00円で1ロット(10万通貨)ロング、口座残高30万円、レバレッジ1000倍、水準20%。

  • 必要証拠金 = 155 × 100,000 × 1 ÷ 1000 = 15,500円
  • ロスカット時の有効証拠金 = 15,500 × 0.20 = 3,100円
  • 耐えられる損失 = 300,000 − 3,100 = 296,900円
  • 耐えられる値幅 = 296,900 ÷ 100,000 = 2.969円
  • ロスカット価格 = 155.00 − 2.969 = 152.03円

152.03円。これならチャートに線が引けますよね。私はこの数字が出た瞬間に「あ、やっとトレードの話になった」って思ったんですよ。

チャート上に水平線を1本引いてロスカット価格を可視化するイメージ

ドル円155円のロスカット価格・早見表

毎回電卓を叩くのも面倒なので、よく使いそうな組み合わせを全部計算しておきました。条件はドル円を155.00円でロング・レバレッジ1000倍・ロスカット水準20%です。数字はロスカットが発動する価格(円)。

口座残高 0.1ロット 0.5ロット 1ロット 2ロット
10万円 145.03 153.03 154.03 154.53
30万円 125.03 149.03 152.03 153.53
50万円 105.03 145.03 150.03 152.53
100万円 55.03 135.03 145.03 150.03

この表、自分で並べてみて背筋が寒くなったのが右上なんですよね。残高10万円で2ロット持つと、ロスカット価格は154.53円。建値からたった47銭です。ドル円が1日で50銭動くのは普通じゃないですか。つまりその日のうちに終わる可能性がそれなりにある、ということなんですよ。

ちなみに暗算するコツもあって、耐えられる値幅(円) ≒ 残高(万円) ÷ ロット数 ÷ 10で出ます。残高30万・1ロットなら30÷1÷10=3円なので、155−3で152円。上の表の152.03円とほぼ一致します。信号待ちの間でも出せる精度だと思います。

「水準が低い業者だから耐えられる」は、ほぼ幻でした

ここが今回いちばん意外だった部分なんですけど。「ロスカット水準0%の業者なら限界まで粘れる」ってよく言われるじゃないですか。実際どれくらい粘れるのか、式の「水準」だけ差し替えて計算してみました。残高30万円・1ロット・レバレッジ1000倍で固定です。

ロスカット水準 ロスカット価格 建値からの距離
0% 152.0000円 300.0pips
10% 152.0155円 298.5pips
20% 152.0310円 296.9pips
50% 152.0775円 292.3pips

0%と50%で7.7pipsしか違わないんですよ。正直これはちょっと拍子抜けしました。

というのも、水準が効くのは「必要証拠金 × 水準」の部分だけなんですけど、レバレッジ1000倍だとその必要証拠金自体が15,500円しかないんですよね。30万円の残高に対して5%程度。そこに20%を掛けた3,100円が、300,000円と比べてどれだけ影響するかという話でしかないんです。

一方で、さっきの早見表に戻ると残高を10万円から30万円に増やすだけでロスカット価格は154.03円→152.03円、200pipsも遠ざかります。水準の差(7.7pips)の26倍です。ロスカットを遠ざけたいなら、水準の%を比較するより先に、ロットを落とすか残高の余白を増やすほうが圧倒的に効きます。

ただし、これは高レバレッジだから成り立つ話なんですよ。試しに同じ条件をレバレッジ25倍(国内FX相当)で解くと、必要証拠金が620,000円に膨らむので、水準0%なら300pips耐えられるのに水準20%だと176pipsまで縮みます。水準の%を真剣に比較する感覚って、たぶん国内FXの経験から来てるんですよね。海外FXの高レバレッジ口座では、同じ重みでは効いてこない、と。

各社の「水準」の実数値。XSは約款に全部書いてありました

式に入れる数字なので、主要3社を調べました。XSだけは公式の顧客約款(PDF)に条項として書かれていたので一次ソースで取れています。

業者 ロスカット水準 確認した情報源
XS.com 一般口座20% / セント口座10% / 一部VIP口座は50%以下 顧客約款 v1.9 第9.5条(一次ソース)
XM Trading 20%(維持率50%でマージンコールの警告) 複数の二次ソースで一致
Exness 0% 複数の二次ソースで一致

XSの約款、原文はこうです。「The applicable thresholds are equal to or less than 50% for certain VIP accounts, 10% for cent accounts, and 20% for all other accounts.」

面白いのが、日本語の解説サイトをいくつか読むと「セント口座10%・その他20%」までは書いてあるんですけど、VIP口座の50%以下という部分に触れているものが見当たらなかったんですよね。水準は低いほどトレーダーに有利なので、一部の口座だけ50%というのは普通に重要な情報だと思うんですけど。自分の口座タイプがどれに当たるのかは、契約前に確認しておいたほうがいいと思います。

XMとExnessについては、公式サイトが取得できなかったので複数の独立した情報源をクロスチェックした限りでは上記の数字で一致している、というレベルの確認に留めています。入れる数字がひとつズレるだけで線の位置が変わるので、実際に使う前には必ずご自身の口座タイプの条件を公式サイトで確認してください。

20%の手前に、もう1本「100%」の線があった

で、この約款の第9.5条、実は2段構えになっていたんですよ。私が見落としかけたところです。

前半にこう書いてあります。「the Company shall have the right, but shall not be obliged, to start closing Client’s positions starting from the most unprofitable, when the Margin is less than 100%」。訳すと、維持率が100%を割った時点で、業者は最も損失の大きいポジションから決済する「権利」を持つ。ただし「義務ではない(shall not be obliged)」とわざわざ書いてある。

そして後半で「閾値(20%等)を下回った場合は自動的に決済される」と続く。つまり100%は業者の裁量ライン、20%は自動執行ラインという二階建てなんですよね。

じゃあその裁量ラインは価格でどこなのか、計算してみました。残高30万円・レバレッジ1000倍の条件です。

ロット 維持率100%の価格 維持率20%の価格 差
0.5ロット 149.155円 149.031円 12.4pips
1ロット 152.155円 152.031円 12.4pips
2ロット 153.655円 153.531円 12.4pips

差は12.4pips。実務上はほぼ同じ場所です。なので「100%ラインがあるから急に決済されるかも」と怯える必要はないと思うんですけど、ロスカットは業者にとって権利であって義務ではないという事実自体は頭に入れておく価値があると思うんですよね。「水準まで必ず守ってくれる」という前提で組み立てると、どこかで裏切られる気がします。

金曜21時以降は、この線が28pips手前にずれます

これも約款を読んでいて見つけた話で、正直いちばん実用的だったところです。同じXSの約款の第9.2条にこうあります。

注意

毎週金曜の21:00〜24:00、および主要な経済指標の発表前に、その期間に新規で建てるポジションについてはFXで最大レバレッジ1:100を適用する権利を会社が留保している(約款第9.2条)。他の銘柄では通常の4倍の必要証拠金。

レバレッジが1000倍から100倍に落ちるということは、必要証拠金が10倍に膨らむということなんですよ。式の分母が変わるので、当然ロスカット価格も動きます。残高30万円・水準20%で計算し直すとこうなりました。

ロット 通常時 1:100適用時 必要証拠金
0.5ロット 149.031円 149.310円 7,750円→77,500円
1ロット 152.031円 152.310円 15,500円→155,000円
2ロット 153.531円 153.810円 31,000円→310,000円

どのロットでも27.9pips手前にずれます。さっき見た「水準0%と50%の差」が7.7pipsだったことを思い出してほしいんですけど、業者選びで水準の%を比べるより、金曜の夜にポジションを建てるかどうかのほうが3倍以上インパクトが大きいんですよ。これは計算してみるまで全然ピンときていませんでした。

しかも2ロットの行を見てください。必要証拠金が31万円になっているのに残高は30万円しかない。そもそも新規では建てられません。「金曜の夜に注文が通らなかった」という話、けっこう見かけるんですけど、理由はこれだったりするんですよね。

計算した価格は「約束」じゃない、という話

ここまで散々計算しておいてなんですけど、大事なので書いておきます。この線は目安であって、その価格で必ず止まるという保証ではないんですよ。

理由はいくつかあって、どれも約款側に根拠があります。

注意

① 必要証拠金やレバレッジは建玉後でも予告なく変更されうる(第9.2条に「建玉時に設定されたマージン率の事後的な変更を含む」と明記)。分母が動けば線も動きます。
② 決済は「the then market price(そのときの市場価格)」で行われるので、窓開けや指標時のスプレッド拡大では計算値より不利な価格で約定します。
③ 入金処理中にストップアウトに達しても会社は責任を負わないと第18.4条にある。追加入金での救済は間に合わない前提で考えたほうがいいです。

特に③はけっこう現実的な話だと思うんですよね。「やばくなったら入金すればいい」って思いがちなんですけど、着金には時間がかかるし、その間に価格は待ってくれないので。

あと地味に効くのがスプレッドです。ロングの含み損はBid(売値)で評価されるので、スプレッドが1.5pips開いている銘柄なら、計算上のロスカット価格より実質1.5pips手前に線があるようなものなんですよ。指標発表時にスプレッドが10pips開けば、線もその分だけ迫ってきます。

実際に運用してみて、こうなりました

POINT

ポジションを建てた直後に、この式でロスカット価格を出してチャートに水平線を1本引く。これを2週間続けてみたんですけど、個人的にはかなり良かったと感じています。

何が良かったかというと、ロットを追加するたびに線を引き直す必要があるという点なんですよ。建て増しすると分母も分子も変わるので、線は確実に建値側へ寄ってきます。その「寄ってくる」のを目で見てしまうと、ナンピンの手が一瞬止まるんですよね。数字で「維持率が下がりました」と言われてもピンとこないのに、線が近づいてくるのは怖い。人間って不思議だなと思いました。

もうひとつ、線が直近の安値より建値側にある日はロットが多すぎる、というシンプルな判断基準ができたのも大きかったです。「このサポートまで一回落ちても不思議じゃないな」という場所よりロスカット価格が手前にあるなら、それはもう手法の問題じゃなくてロットの問題なので。

元システムエンジニアの性分なのか、私はこういう「式1本に落として、あとは数字を差し替えるだけ」という形が好きなんですよね。業者を乗り換えても口座タイプを変えても、同じスプレッドシートが使い回せます。

この計算がやりやすい業者の条件

最後に業者側の話を。この式を実際に運用するうえで見ておきたいのは、水準の低さそのものより次の3つだと思っています。

  • ロスカット水準が公開されていて、口座タイプごとに明記されているか。数字が見つからない業者は、そもそも線が引けません
  • レバレッジが動的に変わる条件が開示されているか。残高やロット数で段階的に下がる業者は、下がった瞬間に必要証拠金が増えて線が動きます
  • ゼロカットがあるか。水準の話は「どこで止まるか」ですが、ゼロカットは「止まらなかったときにどうなるか」の話で、別の論点です

ちなみに式の観点でいうといちばんシンプルになるのはExnessで、水準が0%なので「必要証拠金 × 水準」の項がまるごと消えます。ロスカット価格 = 建値 − 有効証拠金 ÷ 取引数量、それだけ。余剰証拠金を使い切るところが、そのまま線になるという分かりやすさはありますね。ただ、これは「粘れるから有利」という意味ではなくて、さっき計算したとおり水準の差は7.7pips程度しかないので、あくまで「計算が楽」という以上の意味は持たせないほうがいいと思っています。

逆にXMのように維持率50%でマージンコールの通知が飛ぶタイプは、線に近づいたことを業者側が教えてくれるぶん、ロスカット価格の管理を自分で張り付いてやらなくていいという良さがあります。どちらが優れているというより、自分が数字を見続けられるタイプかどうかで選ぶところかなと。

FX取引はレバレッジを用いた取引であり、預けた資金(元本)を上回る損失が生じる可能性があります。本記事は情報提供を目的としたものであり、投資を勧誘するものではありません。取引を行う際は自己責任・余裕資金の範囲で行い、各社公式サイトで最新のリスク説明書・規約を必ずご確認ください。

まとめ

長くなったので、持って帰ってほしいところだけ並べます。

  • ロスカット価格 = 建値 ∓ (有効証拠金 − 必要証拠金 × 水準) ÷ 取引数量。業者が変わっても差し替えるのは水準の数字だけ
  • 暗算なら 耐えられる値幅(円) ≒ 残高(万円) ÷ ロット数 ÷ 10 でだいたい合う
  • 水準0%と50%の差は7.7pips。高レバレッジ口座では水準の%比較にあまり意味がない。効くのは残高とロット
  • XSの約款には一般20% / セント10% / 一部VIP50%以下と明記。100%を割った時点で業者に決済の「権利」が発生する二階建て構造になっている
  • 金曜21〜24時と主要指標前は新規のレバレッジが1:100に制限される場合があり、線が約28pips手前にずれる。水準の差より影響が大きい
  • 計算値は約束ではない。マージン率は事後変更されうるし、決済はそのときの市場価格。入金処理中のストップアウトも免責される

今日の中でひとつだけ試すなら、いま持っているポジションのロスカット価格を出して、チャートに線を引いてみるのがおすすめです。思っていたより近いか遠いか、たぶんどちらかで驚くと思うんですよね。私は近いほうで驚きました。

なお本記事の数値はすべてドル円155.00円・ロング・レバレッジ1000倍を前提にした自前計算です。レートも条件も日々変わるので、実際の判断はご自身の口座の数字で計算し直してください。