「カレンダーが真っ黒な日=危ない日」ではなかった|経済指標2,173件を曜日別に数えたら水曜だけ20pips超がゼロだった話

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経済指標カレンダーを開いて、その日が★マークでびっしり埋まってると、なんとなく「今日はロット落としとこうかな」って思いませんか。私はけっこう長いことそうしてたんですよね。

でも、ふと気になったんですよ。カレンダーの黒さと、実際にドル円が動く量って、本当に対応してるんだろうかって。指標の本数が多い日=危ない日なら話は早いんですけど、そんなに素直な話じゃない気もしたんです。

というわけで今回は、2026年4月6日〜10月17日の26週分、経済指標2,173件を曜日ごとに全部数えてみました。結論から言うと、カレンダーの本数と実際の値動きは、曜日単位ではきれいにズレます。いちばん極端なのが水曜で、この26週間で20pips以上動いた回が一度もありませんでした。

何をどう数えたのか

データ源はみんかぶFXの経済指標カレンダーです。ここは各指標の行に「重要度(★1〜5)」と「前回ドル円変動幅」が載っていて、週単位でURLを送れば過去も未来も取れるようになってるんですよ。28週分のページを取得して、2,173行を拾いました。

ただ、ここで1つ厄介な落とし穴があるんですけど、「前回ドル円変動幅」という列は、その行の回の値動きじゃなくて、ひとつ前の回の値動きなんですよね。定義もページ内に明記されていて、「前回の発表から10分後にドル円が何pips動いたか」です。

つまり素直に読むと、発表日と値動きが1回分ズレたまま集計することになります。なので今回は同じ指標の隣り合う2回を鎖のようにつないで、k+1回目に載っている変動幅をk回目の発表日時に割り当て直すという処理を入れました。つなぎ間違いを防ぐために「k+1回目の前回欄の数値=k回目の結果」が一致する組だけを採用していて、1,513組中1,240組(82.0%)が検算を通っています。

注意

同じ時刻に複数の指標が並ぶ回(雇用統計のように非農業部門雇用者数・失業率・平均時給が同時に出るケース)は、全部の行が同じ値動きを共有しています。行で数えると雇用統計の日が6倍に重み付けされてしまうので、本記事の主要な数値は日付+時刻で畳んだ「イベント単位」579件のほうを使っています。

結果:カレンダーの本数と実際の値動きはズレる

まず曜日別の全体像です。「件数」はカレンダーに載っている指標の1日あたりの本数、「★4以上」はそのうち重要度が高いものの本数、右の3列が実際の値動きです。

曜日 件数/日 ★4以上/日 変動幅の中央値 上位10% 20pips超の率
月 7.5 0.62 2.0pips 8.0pips 1.3%
火 13.1 2.36 2.3pips 7.7pips 1.6%
水 19.8 3.25 2.5pips 7.9pips 0.0%
木 23.1 3.36 3.2pips 14.4pips 5.6%
金 14.5 1.96 3.4pips 13.3pips 6.4%

見てほしいのは水曜と金曜の行なんですよ。

水曜はカレンダー上の本数が1日19.8件、★4以上も3.25件で、木曜とほぼ並ぶ「真っ黒な日」です。ところが実際の値動きは、中央値2.5pips・上位10%でも7.9pips。125イベント中、20pips以上動いた回はゼロでした。最大でも19.1pips(8月26日の米耐久財受注・PCEが重なった回)で、26週間ずっと20pipsの壁を越えていないんですよね。

逆に金曜は★4以上が1.96件と水曜の6割しかないのに、20pips超の発生率は6.4%で全曜日トップ。最大は124.8pips(8月7日の米雇用統計)です。本数は少ないのに、一発の破壊力だけが突出してるんですよ。

木曜と金曜をまとめた平均は6.23pips、月火水をまとめた平均は3.46pips。差は2.77pips(±2SE 1.48)で、誤差の範囲を超えています。ここはちゃんと「効いている」差です。

大きく動いた回は、ほぼ木曜と金曜に落ちている

平均より分かりやすいのが、大きく動いた回がどの曜日に出たかの分布です。

しきい値 件数 月 火 水 木 金
20pips以上 18 1 2 0 8 7
30pips以上 6 0 2 0 2 2
50pips以上 3 0 0 0 2 1

20pips超18件のうち15件(83%)が木・金です。そして50pips超の3件は全部木金で、水曜は3つのしきい値すべてでゼロ。週の真ん中が一番静かなんですよね。

ちなみに火曜の30pips超2件は、7月14日の米CPI(30.9pips)と4月28日の日銀政策金利(30.5pips)でした。火曜もたまにハネるんですけど、頻度としては年に数回レベルです。

水曜のカレンダーが黒く見える理由

週間カレンダーの一部の曜日に印を付けている手元

ここが今回いちばん面白かったところなんですけど、水曜と金曜では★4以上の「中身の国」がまるで違うんですよ。

曜日 ★4以上の総数 米国 豪州 その他
水 91件 46件(51%) 30件(33%) 15件(16%)
金 55件 51件(93%) 0件 4件(7%)

水曜の重要指標は、3分の1が豪州なんです。豪CPIやNZ中銀の政策金利がこの曜日に集中していて、26週で見ると豪州の指標111件のうち47件(42%)が水曜に固まっていました。

豪ドルやNZドルをやっている人にとっては当然重要なんですけど、ドル円しか見ていないトレーダーにとっては、カレンダーを黒くしているだけで値動きには効かないんですよね。水曜が「黒いのに動かない」の正体はたぶんこれです。

一方の金曜は★4以上の93%が米国。米雇用統計が原則として第1金曜に来るうえ、PMI速報値やミシガン大指数みたいなドル直結の指標が同じ曜日に乗ってくるので、本数は少なくても全弾がドル円に当たる構造になっています。

POINT

曜日のリスクは「指標が何本あるか」ではなく「自分が持っている通貨の国の指標が何本あるか」で決まります。カレンダーの★の総数を眺めるのではなく、国のフィルタをかけてから見ると、同じ画面がまったく違って見えるんですよ。

木曜に★5が集中するのは「日本時間だから」

深夜3時過ぎの暗い部屋でチャートだけが点灯しているデスク

もう1つ数えていて気づいたのが、★5(最重要)が木曜に30件と突出していることです。月曜5件・火曜5件・水曜8件・金曜15件に対して木曜だけ倍以上あるんですよね。

中身を見たら理由はすぐ分かりました。FOMC・ECB・英中銀の政策金利が、26週分すべて木曜に入っていたんです。

ECBと英中銀はもともと現地の木曜に発表するので素直なんですけど、FOMCは米国では水曜の午後なのに、日本時間だと木曜の午前3時になります。実際、6月18日も7月30日も、カレンダー上の時刻は「木曜 03:00」でした。

これ、地味に効いてくると思うんですよ。「水曜はFOMCだから気をつけよう」と現地時間の感覚でいると、日本のカレンダーでは木曜の未明に当たるので、水曜の夜に建てたポジションがそのまま寝ている間に直撃を受けることになります。曜日でリスクを管理するなら、必ず日本時間ベースの曜日で数えることですね。

じゃあ実際どう使うか

今回の数字から私が実務的に引いた線は、だいたいこの3つです。

1つめ。月曜から水曜は、曜日を理由にロットを落とす根拠が薄い。中央値は2.0〜2.5pipsで横並びですし、水曜に至っては26週で20pipsを一度も超えていません。カレンダーが真っ黒なのを見て機会を逃しているなら、それはたぶん損のほうが大きいんですよね。

2つめ。警戒するのは曜日ではなく「銘柄名」。20pips超18件の顔ぶれを見ると、米雇用統計・米CPI・FOMC・ECB・英中銀・日銀にほぼ集約されます。曜日は結果的にそれらが落ちている場所でしかないので、先に大物の時刻を押さえて、その前後だけポジションを調整するほうが精度が高いです。

3つめ。金曜21:30(雇用統計)だけは別格。26週で最大の124.8pipsもここですし、週末持ち越しの直前でもあります。スプレッドが広がりやすい時間帯でもあるので、ここだけは「曜日で身構える」価値があると思います。

注意

今回の集計は26週・579イベントという限られた期間のものです。曜日ごとのサンプルは77〜143件しかないので、「水曜はゼロ」も「今後も絶対に動かない」という意味ではありません。サンプルが増えれば水曜にも20pips超は出るはずで、言えるのは26週という実務的な時間スケールでは木金に偏っていたというところまでです。

今後の注目ポイント(2026年10月19日〜25日の週)

ついでに来週のカレンダーも同じ目線で見てみました。全85件の内訳は月14・火18・水20・木12・金21件です。

面白いのが、今週に限っては木曜に★4以上が1件もないこと。政策金利の発表が入っていない週なので、いつもの「木曜が重い」パターンが崩れています。代わりに重いのは10月23日(金)22:45の米PMI速報値で、ここだけ★5が入っています。

そのほかは10月19日(月)11:00の中国GDP、10月20日(火)の英失業率と独ZEW、10月21日(水)15:00の英CPIあたり。ドル円目線なら、実質的に金曜22:45の一点集中の週ということになりますね。曜日の平均に引っ張られず、毎週この確認をするのが結局いちばん効くと思います。

指標の値動きを取りに行くなら、コスト側も見ておく

ここまで「どこで動くか」の話をしてきたんですけど、指標前後を狙うならもう半分、スプレッドの広がり方と約定の挙動のほうも見ておいたほうがいいです。20pips動いても、エントリーと決済で想定外のコストを払ったら手残りは全然変わってきますからね。

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FX取引はレバレッジを用いた取引であり、預けた資金(元本)を上回る損失が生じる可能性があります。本記事は情報提供を目的としたものであり、投資を勧誘するものではありません。取引を行う際は自己責任・余裕資金の範囲で行い、各社公式サイトで最新のリスク説明書・規約を必ずご確認ください。

まとめ

26週・2,173件を曜日別に数えて分かったことを並べておきます。

  • カレンダーの本数と実際の値動きは一致しない。水曜は本数で2位なのに、125イベント中20pips超はゼロ(最大19.1pips)
  • 20pips超18件のうち15件(83%)が木・金に集中。50pips超の3件も全部木金
  • 木金の平均6.23pips vs 月火水の平均3.46pips。差2.77pips(±2SE 1.48)で誤差を超える
  • 水曜が黒く見えるのは豪州の指標が33%を占めるから。金曜は★4以上の93%が米国で、全弾がドル円に当たる
  • FOMCは日本時間だと木曜03:00。現地の曜日感覚でリスク管理すると寝ている間に直撃する

結局のところ、曜日は「大物が落ちやすい場所」を示すヒントでしかないんですよね。本当に見るべきは指標の名前と時刻のほうで、曜日はその代理指標としてはけっこう粗い、というのが今回の実感です。

とはいえ「金曜21:30だけは別物」という事実は26週の数字でもはっきり出ているので、週末持ち越しを考えるときの材料としては十分使えると思います。来週のカレンダーを開くときは、★の総数じゃなくて国と時刻のほうから見てみてください。たぶん見え方が変わるはずです。

※本記事の集計はみんかぶFX経済指標カレンダー(2026年4月6日〜10月17日の28週分)を取得して自前で行ったものです。変動幅は同カレンダーの「前回ドル円変動幅」(発表から10分後のドル円の変動)を使用しています。最新の指標スケジュールや数値は各提供元でご確認ください。