こんにちは、瀬名ハルカです。
今週(2026年9月14日〜18日)は、FOMCと日銀の金融政策決定会合が同じ週に並ぶという、年に何回もない配置になってるんですよね。しかも両方とも「結果が出るまで中身が分からない」タイプのイベントです。
こういう週って、どうしても「ドル円は上か下か」みたいな話になりがちなんですけど、私は方向を当てにいくのは正直あきらめてます。当てられないので。代わりに毎回やってるのが、「この週に持ち越すなら、ロットはいくつまでにしておくべきか」を先に計算してしまうことなんですよ。今回はその計算過程をそのまま公開します。
先週の振り返り:米8月CPIはコアが上振れ、でもドル円は伸びなかった
まず前提の整理からいきますね。日本時間9月11日21時30分に発表された米8月の消費者物価指数(CPI)は、こんな結果でした。
| 項目 | 結果 | 市場予想 |
|---|---|---|
| CPI 前月比 | +0.4% | +0.4% |
| CPI 前年比 | +3.4% | +3.4% |
| コアCPI 前月比 | +0.3% | +0.2% |
| コアCPI 前年比 | +2.4% | +2.4% |
総合は予想ぴったり。ただコアの前月比だけが予想を0.1ポイント上回ったんですよね。数字としては地味なんですけど、市場は「インフレの粘り」を測るのにコアを見てるので、ここが上振れたインパクトはそこそこありました。
発表直後はドル買いで、NY市場では154円48銭まで上昇。ところがそこから続かなくて、最終的に153円24銭まで反落して、ほぼ安値引けで週を終えてます。
なんで伸びなかったのかというと、同じ日に出た9月のミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)が47.8と落ち込んだこと、それに原油の反落が重なったことが理由として挙げられてます。「インフレは強いけど景気は弱い」という数字の並びだったわけで、そうなるとドル買いも一本調子にはならないんですよね。ちなみに同日発表の1年先の期待インフレ率は4.6%でした。
POINT
CPI後、9月FOMCでの利上げ織り込みは大きく上昇しました。ただし織り込み率の数値は情報源によって幅があります(私が確認した範囲では「7割程度」から「9割近く」まで)。この記事ではあえて一つの数字に決め打ちせず、「かなり高めに織り込まれている」という程度の認識で話を進めます。
今週のスケジュール:主役は木曜未明と金曜の昼
今週の主なイベントを日本時間で並べるとこうなります。
| 日付(日本時間) | イベント |
|---|---|
| 9/15(火) | 英8月雇用統計、独・ユーロ圏9月ZEW景況感、中国8月小売売上高・鉱工業生産 |
| 9/16(水) | 英8月CPI、米8月小売売上高(21:30)、日本8月貿易収支 |
| 9/17(木)3:00 | FOMC 政策金利発表+経済見通し(SEP)・ドットチャート公表 |
| 9/17(木)3:30頃 | ウォーシュFRB議長 記者会見 |
| 9/17(木)夜 | BOE(英中銀)政策金利発表・議事録 |
| 9/18(金)8:30 | 日本8月CPI |
| 9/18(金)昼頃 | 日銀 金融政策決定会合 結果公表(17〜18日開催) |
| 9/18(金)15:30 | 植田日銀総裁 記者会見 |
細かい発表時刻は業者の経済指標カレンダーでも確認してほしいんですけど、押さえるべきは「FOMCの結果が木曜の午前3時、日銀の結果が金曜の昼」という2点だけです。
今回のFOMCはドットチャート(FOMC参加者の政策金利見通し)とSEPが出る回なんですよね。四半期に一度しかない回なので、仮に金利の結果そのものが想定通りでも、見通しの中身で普通に動きます。「政策金利だけ確認して寝よう」が通用しない回なんですよ。
日銀のほうは、複数の情報源を見た限りでは政策金利を1.00%から1.25%へ引き上げる見方が大勢です。ただ、市場の関心はすでに「利上げするかどうか」ではなく、利上げ幅(0.25%か、それ以上か)と植田総裁の会見のトーンに移ってます。「利上げしたのに円が買われない」パターンを指摘している記事も出てました。織り込み済みのことが起きても、材料としては消化されてしまうという話なんですよね。
本題:FOMCと日銀は「33時間差」で来る
ここからが今日の本題です。
FOMCの結果が木曜3:00、日銀の結果が金曜の昼頃。この2つの間隔は、だいたい33時間しかありません。
これ、カレンダー上は「木曜と金曜」で2日分に見えるんですけど、実際にポジションを触れる時間で数えるとかなり違うんですよ。
- FOMCの結果が出るのは日本が寝ている時間。リアルタイムで反応を見られる人は少数派です
- 起きたときにはもう動き終わっていて、木曜の日中に一度だけ整理のチャンスがある
- そして翌日の昼にはもう日銀。金曜の朝にはすでに「持ち越すかどうか」を決め終えていないと間に合わない
つまり実質的に、2つの大イベントの間に、落ち着いて判断できるタイミングが平日の日中1回しかないという構造なんですよね。「FOMCの結果を見てから日銀の構えを決めよう」と思っていても、その判断時間はかなり短いです。
注意
日本時間の午前3時台は、そもそも流動性が薄くてスプレッドが開きやすい時間帯です。そこにイベントが重なると拡大幅はさらに大きくなります。逆指値はスプレッド拡大でも約定するので、「普段のスプレッドを前提に置いたストップ」は、イベント時には実質的に手前に寄っていると考えたほうが安全です。
自前計算①:2つのイベントを掛け合わせると、値幅の分布はどうなるか
で、ここからが計算パートです。
FOMCと日銀、どちらもドル円に効くイベントですが、効く向きが逆になり得るのがややこしいところなんですよ。ざっくり言うと、FOMCがタカ派寄りならドル買い(ドル円は上)、日銀がタカ派寄りなら円買い(ドル円は下)です。
なので、2つの結果の組み合わせは4通りになります。1イベントで動く値幅を仮に「D」として、合成の値幅を並べるとこうなります。
| FOMC × 日銀の組み合わせ | ドル円への向き | 合成値幅 | 確率(50/50仮定) |
|---|---|---|---|
| タカ派 × ハト派 | 両方ドル円の上方向 | +2D | 25% |
| タカ派 × タカ派 | 打ち消し合う | 0前後 | 25% |
| ハト派 × ハト派 | 打ち消し合う | 0前後 | 25% |
| ハト派 × タカ派 | 両方ドル円の下方向 | −2D | 25% |
確率は「どっちに転ぶか分からない」という意味で、あえて全部50/50に置いてます。方向を当てにいく話ではないので、ここでは分布の形だけを見てください。
この表から読み取れることが、私は2つあると思ってるんですよね。
1つめ。真ん中(=ほとんど動かない)のケースが、合計で50%もある。 2つのイベントが打ち消し合うパターンですね。「ビッグイベント2連発だから絶対荒れる」と思ってブレイクアウトを狙うと、半分の確率で往復ビンタになりかねないわけです。
2つめ。残り50%では、1イベント分の2倍動く。 普段のイベント1回分を想定してストップを置いていると、単純に距離が足りない可能性があります。
つまり「真ん中が薄くて、両端が太い」分布になりやすいのがこの週の特徴ということなんですよね。真ん中を狙うのも端を狙うのも、普段と同じ設定のままだと噛み合いにくいわけです。
ちなみに実際には、FOMCの利上げはかなり織り込まれているし、日銀の0.25%利上げもほぼ織り込み済みと言われてます。なので現実の分布は上の表よりもっと歪んでるはずなんですけど、「どちらに歪んでいるか」は私には断言できません。断言している人がいたら、その根拠のほうを確認したほうがいいと思います。
自前計算②:ストップ距離を2倍にすると、ロットは何分の1になるか
分布の形が分かったところで、じゃあ具体的にロットをどうするか、という話です。
使うのは、いつものリスク許容額からの逆算式です。
POINT
建てられる数量 = 1回のリスク許容額 ÷ (ストップ距離 × 1pipsあたりの損益)
ドル円の場合、1pips = 0.01円。1万通貨あたり1pipsで100円動きます。
ここでは、資金30万円・1回あたりのリスクを2%(=6,000円)に置いて計算してみますね。ストップ距離だけを変えて並べるとこうなります。
| ストップ距離 | 1万通貨あたりの損失 | 建てられる数量 |
|---|---|---|
| 50pips | 5,000円 | 1.2万通貨 |
| 80pips(イベント1回分の想定) | 8,000円 | 0.75万通貨 |
| 120pips | 12,000円 | 0.5万通貨 |
| 160pips(イベント2回分の想定) | 16,000円 | 0.375万通貨 |
| 200pips | 20,000円 | 0.3万通貨 |
見ての通りで、ストップ距離が2倍になると、建てられる数量はきっちり半分になります。 80pips想定で0.75万通貨だったものが、160pips想定だと0.375万通貨です。
当たり前の話に見えるかもしれないんですけど、この当たり前を実際にやれてる人ってそんなに多くないと思うんですよね。というのも、多くの人はロットを先に決めてからストップの位置を考えるからです。その順番だと「今回はイベント2つ分だからストップを遠くしよう」と思った瞬間に、リスク額だけがこっそり2倍になります。
順番を逆にして、「今週跨ぐならストップは普段の2倍必要 → だからロットは半分」と先に決めてしまう。これだけで、想定外の含み損で判断がおかしくなる事故はかなり減らせるはずなんですよ。
もちろん「そこまでして持ち越す必要ある?」という話もあって、私自身はこういう週は木曜の日中までに一度ポジションを軽くしておくことが多いです。持ち越さなければ、そもそもこの計算は要らないんですよね。
環境面で確認しておきたいこと
イベント週は、業者側の条件が普段と変わることがあるので、そこも先に確認しておくと安心です。
特に見ておきたいのは、①指標発表前後にレバレッジの一時的な制限がかかるかどうか、②ゼロカット(追証なし)の扱い、③スプレッド拡大時の挙動のあたりですね。①は業者によってルールが違いますし、時期によって変わることもあります。ロットを決めてから「必要証拠金が足りない」と気づくと、週後半に慌てることになるので。
私が普段イベント週の検証に使っているのはExnessです。ゼロカット(ネガティブバランスプロテクション)があるので、想定外のギャップで口座残高がマイナスになる形は避けやすいんですよね。ただし、ゼロカットがあることは「大きく建ててもいい理由」には全くなりません。あくまで最悪ケースの尻尾を切るだけの仕組みです。
なお、レバレッジ制限やスプレッドの条件は時期によって変わります。この記事の数字ではなく、取引する直前に公式サイトで最新の条件を確認してください。
今週、私が見るポイント
最後に、今週チェックするつもりの項目を並べておきますね。
- 木曜3:00のFOMC:政策金利そのものより、ドットチャートが示す今後の道筋。四半期に一度の回なので、ここが本体です
- 木曜3:30頃の議長会見:金利発表から30分後に始まります。声明への反応が会見でひっくり返るのは毎度のことなんですよね
- 金曜昼の日銀:利上げ幅が0.25%に収まるかどうか。それ以上だとサプライズ扱いになります
- 金曜15:30の植田総裁会見:今回はここが一番読めないところだと思ってます。「次」に前向きかどうかで、同じ利上げでも受け止めが変わるので
- 金曜の引け:週末を跨ぐかどうかの判断。日銀の会見が15:30なので、消化しきる前に週が終わります
予想レンジについては、私が確認した複数の記事では152円台前半〜157円台半ばあたりを見ているものが多かったです。ただこれはあくまで他社の見通しの紹介で、私自身がこのレンジを当てにいくわけではありません。レンジの数字は「これくらいは動く前提でロットを考えろ」という材料として使うものだと思ってます。
注意
この記事の指標結果・日程・織り込み率は、複数の情報源で確認した限りの内容です。発表時刻は変更される場合がありますし、織り込み率は刻一刻と変わります。取引の前には必ず公式発表・お使いの業者の経済指標カレンダーで最新情報を確認してください。
リスクについて
FX取引はレバレッジを用いた取引であり、預けた資金(元本)を上回る損失が生じる可能性があります。本記事は情報提供を目的としたものであり、投資を勧誘するものではありません。取引を行う際は自己責任・余裕資金の範囲で行い、各社公式サイトで最新のリスク説明書・規約を必ずご確認ください。
まとめ
今週(9/14〜18)は、木曜未明のFOMCと金曜昼の日銀が33時間差で並ぶ週です。
ポイントを整理すると、こんな感じなんですよね。
- 先週の米8月CPIはコア前月比だけが上振れ。ドル円は154円48銭まで上げてから153円24銭まで反落して、安値引けで終わった
- FOMCはドットチャート公表回。金利の結果だけでは終わらない
- 日銀は1.00%→1.25%の利上げ観測が大勢。焦点は利上げ幅と植田総裁の会見トーン
- 2つのイベントは打ち消し合うことも、重なって2倍動くこともある。50/50の仮定だと「ほぼ動かない」が50%、「2倍動く」が50%
- だからストップ距離を2倍にする=ロットは半分。順番を「ロット→ストップ」ではなく「ストップ→ロット」にするのが大事
方向を当てる話は一切していませんが、それでいいと思ってます。というのも、こういう週で口座を大きく傷めるのって、方向を外したからというより「動く幅を見誤ったまま大きく建てていたから」であることが多いんですよね。幅の想定だけは、事前に計算で決められます。
それでは、良い週末を。無理のない範囲でいきましょう。
