XS.comのHMR(週末の証拠金引き上げ)で必要証拠金は最大10倍|金曜に詰まないための備え方

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XS.comの公式サイトを読んでいると、各商品ページの隅っこに「HMR(必要証拠金引き上げ)」という項目が必ず出てくるんですよね。週末と月曜の頭だけ、新規で建てるポジションの必要証拠金が上がりますよ、という話です。

正直、最初に読んだときは「まあボラティリティ対策でしょ」くらいにしか思わなかったんですよ。ところが公式のダイナミック・レバレッジのページまで追いかけて数字を突き合わせてみたら、これが想像以上に効くやつでした。条件によっては必要証拠金が10倍になります。

しかも面白いことに、この10倍という打撃を食らうのは資金が少ない人だけなんですよね。資金が大きい口座ではHMRが発動しても何も起きません。この逆転が地味に重要なので、今回はそこを数字で全部出していきます。

HMR(必要証拠金引き上げ)って何なんですか

まずXS公式の説明をそのまま整理します。各アセットクラスのページ(FX・貴金属・エネルギー・インデックス・仮想通貨)に、全部まったく同じ文言で載っていました。

要点は3つです。

  • ボラティリティが高くなりやすい時間帯に、その期間中に新しく建てる注文だけ、より高い証拠金が必要になる
  • 既存のポジションの必要証拠金は影響を受けない
  • 対象期間は「金曜日の市場終了3時間前から、月曜日の市場開始後2時間まで」。取引休場日(Trading Holidays)の前後にも同じルールが適用される

「新規だけ」「既存はそのまま」という非対称なんですよ。ここが後で効いてきます。

POINT

HMRの起点は「各市場のクローズ時刻」です。XSは商品ごとに取引時間が違うので、HMRが始まる時刻も商品ごとに違います。「金曜の何時から」を一律に覚えることはできません。

日本時間だと「金曜の夜」じゃなくて「土曜の未明」なんですよ

XSのサーバー時間は標準時間でGMT+2、米国サマータイム期間中はGMT+3です。日本時間はGMT+9で固定なので、夏はサーバー時間+6時間、冬は+7時間すれば日本時間になります。この変換は以前XS.comの取引時間・取扱銘柄まとめで全銘柄分やったので、今回はそれをHMRに当てはめるだけです。

FXの金曜クローズはサーバー時間23:55。その3時間前ということは20:55からHMRが始まります。これを日本時間に直すと──

夏だと土曜の午前2時55分なんですよね。

「金曜の引け際」から想像するのって、たいてい金曜の夜じゃないですか。でも実際に証拠金が上がるのは、日付が変わって土曜になった深夜3時前です。金曜の夜更かしトレードをやる人だけが正面から踏むという、ちょっといやらしい時間帯にあります。

主要な商品について、公式の取引時間表から金曜クローズを拾って全部変換した表がこちらです。

商品 金曜クローズ
(サーバー時間)
HMR時間帯
(日本時間・夏)
HMR時間帯
(日本時間・冬)
FX 全通貨ペア 23:55 土 02:55〜05:55 土 03:55〜06:55
貴金属(XAU・XAG・XPD・XPT) 23:55 土 02:55〜05:55 土 03:55〜06:55
USOIL 23:55 土 02:55〜05:55 土 03:55〜06:55
UKOIL・NGAS 23:59 土 02:59〜05:59 土 03:59〜06:59
US30・US100・US500・US2000・JP225 23:59 土 02:59〜05:59 土 03:59〜06:59
DE40・UK100 22:59 土 01:59〜04:59 土 02:59〜05:59
米国株式CFD 22:55 土 01:55〜04:55 土 02:55〜05:55
欧州株式CFD 18:29 金 21:29〜土 00:29 金 22:29〜土 01:29
香港株式CFD 09:59 金 12:59〜15:59 金 13:59〜16:59

こうやって並べると差がすごいんですよね。香港株CFDは日本時間の金曜13時からもうHMRです。まだ日本の昼間ですよ。欧州株CFDも金曜の21時半から。「週末の話でしょ」と思って油断していると、株式CFDでは平日の感覚のまま踏みます。

月曜側もついでに書いておくと、FXは月曜オープンがサーバー時間00:05なので、日本時間の月曜06:05〜08:05(冬は07:05〜09:05)がHMR期間です。週明けの寄り付きに飛び乗るタイプの人は、こっちを覚えておいたほうがいいと思います。

で、必要証拠金は何倍になるんですか

ここからが本題です。公式の各商品ページには「高い証拠金が必要になります」としか書いていないんですけど、実は具体的な数字がダイナミック・レバレッジのページに載っています。私も探すのに少し手間取りました。

XSのレバレッジには2方式あります。口座タイプ名に「EQ」が付くものは有効証拠金ベース(MT5のみ)、「LT」が付くものはロットベースです。それぞれにHMR期間中のレバレッジ表が用意されていました。

まず有効証拠金ベース(EQ口座)のFXメジャー通貨。通常時とHMR時を並べて、必要証拠金が何倍になるかを計算したのがこの表です。

有効証拠金(円) 通常レバレッジ HMR時レバレッジ 必要証拠金の倍率
0〜450,000 1:2000 1:200 10倍
450,001〜900,000 1:1000 1:200 5倍
900,001〜3,000,000 1:500 1:200 2.5倍
3,000,001〜6,000,000 1:400 1:200 2倍
6,000,001〜15,000,000 1:200 1:200 1倍(変化なし)
15,000,001〜 1:100 1:100 1倍(変化なし)

これ、初めて計算したとき「え、逆じゃない?」と思ったんですよね。

資金が少ない口座ほどHMRの打撃が大きく、資金が600万円を超えると実質何も起きません。

理屈は分かるんですよ。HMR中のレバレッジは1:200に固定されるので、普段1:2000で回している人は10段階ぶん落とされる一方、もともと1:200の人は落ちる先がない。つまりHMRって「高レバの人を平場に引きずり下ろす仕組み」であって、全員に一律の追加負担をかける仕組みじゃないんですよね。

片方に1つ、もう片方に10個の分銅が乗った天秤。HMRで必要証拠金が10倍になることのイメージ

ドル円1ロットでいくら要るのか、金額に直してみる

倍率だけだとピンと来ないので、円に直します。ドル円が150円、1ロット=100,000通貨(スタンダード口座)として計算しました。想定元本は1,500万円ですね。

有効証拠金(円) 通常時の必要証拠金
(1ロット)
HMR時の必要証拠金
(1ロット)
0〜450,000 7,500円 75,000円
450,001〜900,000 15,000円 75,000円
900,001〜3,000,000 30,000円 75,000円
3,000,001〜6,000,000 37,500円 75,000円
6,000,001〜15,000,000 75,000円 75,000円

右の列、全部同じ数字なんですよ。ここがいちばんシンプルな覚え方だと思います。

POINT

HMR中はレバレッジが1:200に張り付くので、必要証拠金は自分の資金量と関係なく一律になります。ドル円150円想定なら「1ロットあたり75,000円」。あとはロット数を掛けるだけです。

つまり必要な余剰証拠金は、こう。

建てたいロット数 HMR中に必要な証拠金(ドル円150円想定)
0.1ロット 7,500円
0.3ロット 22,500円
0.5ロット 37,500円
1ロット 75,000円
2ロット 150,000円
3ロット 225,000円

資金30万円の口座で土曜未明に1ロット建てようとすると、それだけで資金の25%が証拠金として拘束される計算になります。普段の感覚(7,500円=2.5%)で発注ボタンを押すと、素直に弾かれます。

いちばん危ないのは「両建ての片方を閉じるとき」

ここが今回いちばん書きたかったところなんですけど、実はXS公式が自分でハッキリ警告を書いているんですよ。

公式の文言を要約すると、「HMR期間中に未決済のヘッジポジションを終了した場合、十分な自由証拠金がないと決済できないことがあります」。

最初に読んだとき、意味が分からなかったんですよね。決済って証拠金を消費する動作じゃないはずじゃないですか。なんで閉じられなくなるんだと。

で、公式のロットベースのページに答えが書いてありました。XSのレバレッジは「各銘柄ごとの純ロット数」に対して適用されます。同一銘柄内で両建てしている場合も純ロット数で判定される、と明記されています。

つまりこういうことなんですよ。

  • ドル円を買い1ロット+売り1ロットで持っている状態=純ロット0。証拠金の負担はほぼ効いていない
  • ここで売りだけ決済する=残った買い1ロットが純ポジション1ロットとして立ち上がる
  • その1ロット分の必要証拠金が、HMR期間中なので75,000円で再計算される
  • 自由証拠金が足りなければ、その決済注文は通らない

「決済」のつもりの操作が、証拠金の世界では「1ロットの新規建て」と同じ重みになる。だから閉じられない。理解した瞬間、正直ちょっとゾッとしました。

しかも普段なら7,500円で済むところが75,000円ですからね。両建てを持ったまま土曜未明を迎えて、含み損で有効証拠金が削れていたら、片足だけ抜けなくなって週明けまで丸ごと持ち越し、という展開が普通にあり得ます。

注意

両建てを金曜に持ち越すなら、片側のロット数 × 75,000円(ドル円150円想定)の自由証拠金を残しておく、というのが最低ラインの目安になります。解消するつもりなら、HMRが始まる前に済ませてしまうのが一番確実です。

ロットベース(LT口座)の場合はどうなるか

口座タイプ名に「LT」が付く口座は、有効証拠金ではなく銘柄ごとの純ロット数でレバレッジが決まります。セント口座を除く全口座タイプで、MT4とMT5の両方に対応しているとのことです。

こちらもHMR期間中のレバレッジ表が公開されていました。

アセットクラス 通常時の最大レバレッジ HMR期間中のレバレッジ
FX メジャー通貨 1:2000 1:200
ゴールド 1:2000 1:200
FX マイナー通貨 1:500 1:100
メジャーインデックス 1:500 1:100
原油 1:500 1:50
FX エキゾチック通貨 1:200 1:50
シルバー 1:200 1:50
BTC・ETH 1:500 1:10
マイナーインデックス 1:100 1:10
プラチナ・パラジウム 1:100 1:10

ここで目を引くのがBTC・ETHの1:500→1:10です。必要証拠金が50倍。仮想通貨は土日も動くので「週末こそ本番」と思っている人もいると思うんですけど、XSでは金曜クローズ前後がいちばん建てにくい時間帯になります。原油も1:500→1:50で10倍ですね。

ちなみにLT口座のほうは通常時のレバレッジも純ロット数で段階的に下がっていく仕組みなので、すでに大きなポジションを持っている銘柄では通常レバレッジ自体が落ちていて、HMRとの差が縮んでいることになります。ここもEQ口座と同じで、大きく張っている人ほどHMRの追加ダメージは小さいんですよね。

もう一つのHMR:経済指標の直前直後にも発動します

今回いちばん意外だったのがこれなんですけど、XSは週替わりで「経済指標のHMRカレンダー」を公開しています。取引時間ページの中にタブがあって、そこに載っていました。週末だけの話じゃなかったんですよ。

執筆時点で掲載されていた2026年8月31日〜9月4日の週の分を、日本時間に変換したのがこちらです。

日付 イベント 通貨 HMR適用時間帯(日本時間)
9月1日 ISM製造業購買担当者景気指数 USD 22:45〜23:10
9月2日 国内総生産(前期比) AUD 10:15〜10:40
9月2日 政策金利発表 NZD 10:45〜11:10
9月2日 BOC政策金利発表 CAD 22:30〜22:55
9月4日 失業率 USD 21:15〜21:40

並べてみると規則性が見えます。どれも発表時刻の15分前に始まって、10分後に終わる。合計25分間です。5件とも例外なくこの形でした。

変換が正しいかも一応検算しました。9月4日の米雇用統計(失業率)は日本時間21:30発表、ISM製造業は23:00発表、BOCの政策金利は22:45発表。どれも普段見ている発表時刻とピタリ合ったので、変換ロジックは合っていると思います。

これ、地味に実用的なんですよね。指標発表前後にスプレッドが開くのは誰でも意識するんですけど、「発表15分前から新規注文の証拠金が跳ね上がる」というのは、知らないと絶対に説明がつかない挙動です。指標を狙って直前に仕込むタイプの人は、このカレンダーを毎週見に行く価値があると思います。

正直に書いておきたい注意点

ここまで公式の数字を並べてきましたけど、確認しきれなかった点・引っかかった点も正直に書いておきます。

注意

①ゴールドの高資金帯だけ数字が噛み合いません。有効証拠金600万〜900万円の帯で、通常レバレッジが1:100なのにHMR時の表は1:200と書かれていて、HMRのほうが緩く見えます。証拠金を「引き上げる」制度である以上そのまま緩くなるとは考えにくいので、この帯は本記事の計算から外しました。②しきい値は口座通貨ごとに別建てのようです。円建ての表を単純にドル換算しても、以前調べたドル建ての段の数字とは一致しませんでした。自分の口座通貨の表を見てください。③本記事の金額はすべてドル円150円・1ロット100,000通貨での試算です。レートも取引条件も変わるので、実際の数値は必ず公式サイトと取引プラットフォームで確認してください。

あと、公式サイトの情報が1箇所にまとまっていないのもしんどいです。HMRの定義は各商品ページ、レバレッジの数値はダイナミック・レバレッジのページ、指標カレンダーは取引時間ページ。3箇所を突き合わせないと全体像が見えません。

結局どう立ち回ればいいのか

私なりの結論を書いておきます。

まず、資金600万円以上のEQ口座で、FXメジャー通貨しか触らない人は、HMRを気にしなくていいです。数字の上で何も変わりません。ここは断言できます。

逆に資金が数十万円台で、普段2000倍のレバレッジ前提でロットを決めている人は、影響がいちばん大きい層です。土曜未明と月曜朝イチだけ、必要証拠金が10倍になる世界に切り替わると思ってください。ロットの決め方そのものは海外FXの資金管理の記事で整理しているので、そちらもどうぞ。

実務的には、この3つだけ守れば事故らないと思います。

  • 金曜のクローズ3時間前を過ぎたら、新規は建てないと決めてしまう。FXなら日本時間の土曜02:55(冬は03:55)です
  • 両建てを持っているなら、HMRが始まる前に解消する。持ち越すなら片側のロット数×75,000円を自由証拠金として残す
  • 週明けは月曜08:05(冬は09:05)を過ぎてから入る。寄り付き直後の2時間は証拠金が重い

個人的には、1つ目のルールを決めてしまうのが一番ラクだと感じています。というのも、金曜の深夜3時前後って流動性も薄いしスプレッドも開きやすい時間帯で、そもそも積極的に取りに行く場面じゃないんですよね。HMRは「その時間帯に無理をするな」という業者からのメッセージだと解釈すると、素直に従っておくのが合理的な気がします。

なお口座タイプによってEQ/LTのどちらの方式になるかが変わります。自分がどちらなのかはXS.comの口座タイプの選び分けのほうで整理しているので、あわせて読んでみてください。

FX取引はレバレッジを用いた取引であり、預けた資金(元本)を上回る損失が生じる可能性があります。本記事は情報提供を目的としたものであり、投資を勧誘するものではありません。取引を行う際は自己責任・余裕資金の範囲で行い、各社公式サイトで最新のリスク説明書・規約を必ずご確認ください。

まとめ

初心者の方は、とりあえず「日本時間の土曜02:55〜05:55(冬は03:55〜06:55)は新規を建てない」だけ覚えておけば十分だと思います。この時間に取引しないなら、HMRは存在しないのと同じです。

中上級者、特に両建てを使う方や指標トレードをする方は、上の早見表を手元に置いておく価値があります。「決済のつもりの操作が新規建て扱いになって通らない」という挙動は、知らないと確実にパニックになるやつなので。

XSは公式サイトから一次情報がきちんと取れる数少ない海外業者で、今回もHMR期間中のレバレッジ表という、日本語でほぼ解説されていない情報まで公開されていました。そこは素直に評価できるポイントだと思っています。ただ情報が散らばっているので、読むほうに根気が要るんですけどね。