【2026年10月14日の米CPI前に】経済指標の「前回値」は37%が後から書き換わっていた。26週・2,015件を数えた

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来週の目玉は10月14日(水)21:30の米CPI(9月分)と、10月15日(木)21:30の米小売売上高なんですよね。経済指標カレンダーを開くと、どちらも「前回」「予想」「結果」の3つが並んでいます。で、発表の瞬間にみんなが見るのは結果と予想の差じゃないですか。

ただ、私は前からひとつ引っかかっていることがあって。その「前回」の数字、けっこうな頻度で後から書き換わってるんですよ。

というのも、カレンダーの前回欄をよく見ると「2.5% (3.2%)」みたいにカッコが付いている行があるんですよね。カッコの外が前回の発表当日に出た数字で、カッコの中がその後に改定された数字です。つまり「前月は2.5%でした」と思っていたら、実はもう3.2%に直されていた、ということが起きてるわけで。

これ、どのくらいの頻度で起きてるんだろう、というのがずっと気になってたんですよ。なので、26週分・2,015件の発表を全部数えてみました。

数えた結果:37.0%の発表で「前回値」が書き換わっていた

使ったのはみんかぶFXの経済指標カレンダーです。2026年4月13日の週から10月5日の週まで、26週分のページを取得して、結果が出ている発表をひたすらカウントしました。

POINT

26週・2,015件の発表のうち、前回値が載っていたのが2,013件。そのうち744件(37.0%)で前回値が改定されていました。ざっくり3回に1回以上です。向きは上方395件・下方348件で、ほぼ五分五分でした。

正直、もっと少ないと思ってたんですよね。年1回の年次改定くらいのイメージだったので、3回に1回はかなりの頻度じゃないですか。

改定幅は「サプライズ」と同じくらいの大きさだった

次に気になるのは「で、どのくらい動くの?」という話なんですけど。単位がバラバラ(%・億ドル・万人…)だと比べられないので、「%」で表示される431件に絞って改定幅を集計しました。

項目 値
改定幅の中央値 0.20ポイント
改定幅の平均 0.38ポイント
上位10%の改定幅 0.70ポイント以上
最大の改定幅 6.20ポイント
0.2ポイント以上動いた割合 51.7%

中央値0.2ポイントと聞くと小さく感じるかもしれないんですけど、これを当日のサプライズ(結果と予想の差)と並べると印象が変わるんですよ。

同じ行で両方を計算できた339件で比べたところ、サプライズの中央値は0.40ポイント、改定幅の中央値は0.20ポイント。そして339件のうち34.8%、つまり約3件に1件は「前回値の書き換え幅」が「当日のサプライズ」以上の大きさでした。

さらに言うと、結果が予想ピッタリ(サプライズゼロ)だったのに、前回値だけは書き換わっていたケースが36件ありました。表面上は「予想通りで無風」なんですけど、比較の土台のほうが動いていた、という状態なんですよね。

印刷された統計表を2枚並べて数値を突き合わせる様子

いちばんの発見:改定されるかどうかは「指標ごとに決まっている」

ここからが個人的に一番おもしろかったところなんですけど、ちょっと予想外だったんですよね。

改定ってランダムに起きてるのかと思ったら、全然そんなことなかったんですよ。26週で5回以上発表された271系列を1つずつ見ていくと、こうなりました。

タイプ 系列数
毎回かならず改定される(改定率100%) 45系列
たまに改定される 98系列
一度も改定されなかった(改定率0%) 128系列

つまり「改定される指標」と「されない指標」にきれいに分かれているんですよね。半分近く(128/271)は一度も書き換わっていません。逆に45系列は、数えた期間のあいだ毎回必ず書き換わっていました。

主な指標を並べるとこんな感じです。

指標 改定率
米・雇用統計(非農業部門雇用者数) 6回中6回(100%)
米・生産者物価指数(PPI・前月比) 6回中6回(100%)
独・鉱工業生産指数(前月比) 6回中6回(100%)
米・新規失業保険申請(継続受給者数) 26回中26回(100%)
米・小売売上高(前月比) 6回中5回(83.3%)
米・貿易収支 6回中5回(83.3%)
米・雇用統計(失業率) 6回中0回(0%)
米・消費者物価指数(CPI) 5回中0回(0%)
日本・消費者物価指数(前年比) 6回中0回(0%)
米・ISM非製造業景気指数 6回中0回(0%)

来週の主役である米CPIは5回中0回。つまり「前月は3.4%でした」という前提は、少なくとも翌月までは動かない指標なんですよ。一方で、同じ週に来る米小売売上高は6回中5回、米雇用統計にいたっては6回中6回、前回値が書き換わっています。

米雇用統計の6回を全部並べてみた

せっかくなので、改定率100%だった米雇用統計(非農業部門雇用者数)の6回を全部出します。

発表日 前回値(当時) → 改定後 改定幅 当日の結果
5月8日 17.8万人 18.5万人 +0.7万人 11.5万人
6月5日 11.5万人 17.9万人 +6.4万人 17.2万人
7月2日 17.2万人 12.9万人 -4.3万人 5.7万人
8月7日 5.7万人 2.0万人 -3.7万人 -2.3万人
9月4日 -2.3万人 2.1万人 +4.4万人 16.2万人
10月2日 16.2万人 13.3万人 -2.9万人 2.9万人

改定幅の中央値は4.0万人。同じ6回のサプライズ(結果と予想の差)の中央値が7.4万人なので、改定幅はサプライズの4割強に相当する大きさなんですよね。

特に8月7日の回が分かりやすくて。前回値が5.7万人から2.0万人へ下方修正されたうえで、当日の結果が-2.3万人。発表時点では「2カ月連続で弱い」という絵なんですけど、1カ月前には「5.7万人」という別の景色が見えていたわけです。同じ数字を見ているつもりで、見ている土台が入れ替わってるんですよ。

重要度★が高い指標ほど、むしろ改定されにくい

ついでに重要度(★)別でも数えてみたんですけど、これがちょっと意外な結果で。

重要度 改定率
★1 46.6%(41/88)
★2 42.1%(313/744)
★3 34.5%(307/889)
★4 29.7%(69/232)
★5 23.3%(14/60)

きれいに右肩下がりなんですよね。注目度が高い指標ほど改定されにくい。CPIや失業率みたいな看板指標が「毎月は直さない」タイプだからだと思います。逆に言うと、マイナーな指標をわざわざ見に行くときほど、前回値のカッコに注意したほうがいい、という話になります。

国別だとこうでした。

国・地域 改定率
カナダ 57.3%(63/110)
ニュージーランド 53.3%(24/45)
米国 40.8%(257/630)
日本 38.1%(128/336)
英国 36.2%(92/254)
ユーロ圏 33.9%(61/180)
ドイツ 32.6%(63/193)
中国 1.0%(1/96)

中国だけ96件中1件という極端な数字になっています。これは「中国の統計が正確だから」ではなく、改定がカレンダー上に記録として残っていないと読むほうが自然だと思います。こういうのも、数えてみないと見えてこないんですよね。

注意

今回数えたのはカレンダーの前回欄にカッコが付いているかどうかであって、「その指標が絶対に改定されないこと」の証明ではありません。たとえば米CPIは毎月の再発表という形では動かない一方、年に1度の季節調整の見直しで過去の月次がまとめて変わることがあります。今回のカウントではそれは「改定なし」側に入っています。あくまで「翌月の発表時点で書き換わっているか」の集計として読んでください。

来週のスケジュール(10月12日〜16日)

今回の話を踏まえて、来週の★4以上を並べておきます。カッコ内は今回数えた改定率です。

日付(日本時間) 指標 重要度
10/13(火)23:00 米・中古住宅販売件数(9月) ★4
10/14(水)21:30 米・消費者物価指数(9月)(改定率0%) ★4
10/15(木)21:30 米・小売売上高(9月)(改定率83.3%) ★5
10/15(木)21:30 米・フィラデルフィア連銀景況指数(10月) ★4
10/16(金)22:15 米・鉱工業生産指数(9月) ★4

ちなみに、この記事を書いている10月9日時点ではこれら全部の「予想」欄がまだ空欄(—)でした。今回数えた2,015件のうち553件(27.4%)は結果が出た時点でも予想が入っていないんですよね。「予想比で判断する」つもりなら、直前にもう一度見に行くのが前提なんですよ。

じゃあ実際どうするのか

難しいことをしろという話ではなくて、自分がトレードする指標について、一度だけ「改定される側かどうか」を確認しておくだけでいいと思うんですよね。やり方はシンプルで、カレンダーの前回欄にカッコが付いているかを過去数回ぶん眺めるだけです。

POINT

改定は「前回値」の話なので、発表の瞬間の値動きそのものを左右するものではありません。効いてくるのはその後です。「前月より改善した」「2カ月連続で悪化」みたいなストーリーで数日〜数週間ポジションを持つつもりなら、その土台が翌月に書き換わる可能性がある、という前提で組み立てたほうが安全だと思います。

もうひとつ、これは取引条件側の話なんですけど。指標の瞬間はスプレッドが開きますし、注文も滑りやすくなります。改定の有無を調べるより先に、まず自分の口座が指標時にどう振る舞うかを把握しておくほうが優先度は高いと個人的には思っています。私も指標をまたぐときは、普段より建玉を小さくして様子を見るようにしているんですけど、これだけでだいぶ気が楽になるんですよね。

スキャルピングや短期売買で指標を触る人だと、Exnessのように約定条件まわりの情報が比較的そろっている業者を使って、自分の環境を一度測っておくのが現実的だと思います。ただし、どの業者を使っても指標発表時のスプレッド拡大やスリッページがゼロになることはありません。必ず最新の条件は公式サイトで確認してください。

FX取引はレバレッジを用いた取引であり、預けた資金(元本)を上回る損失が生じる可能性があります。本記事は情報提供を目的としたものであり、投資を勧誘するものではありません。取引を行う際は自己責任・余裕資金の範囲で行い、各社公式サイトで最新のリスク説明書・規約を必ずご確認ください。

まとめ

26週・2,015件を数えて分かったことを並べておきます。

  • 37.0%の発表で前回値が書き換わっていた(744/2,013件)。上方と下方はほぼ五分
  • 改定幅の中央値は0.20ポイント。約3件に1件は当日のサプライズ以上の大きさ
  • 改定されるかどうかは指標ごとにほぼ決まっている。271系列中、45系列は毎回改定・128系列は一度も改定なし
  • 重要度★が高い指標ほど改定されにくい(★1で46.6%、★5で23.3%)
  • 来週の米CPIは改定率0%、米小売売上高は83.3%。同じ週でも性格が違う

「前回より良くなった」という判断は、思っているより足元が動きやすいんですよね。数字そのものを疑えという話ではなくて、比較の土台にも更新日があると知っておくだけで、ポジションの置き方が少し変わると思います。

なお、今回の集計はみんかぶFXの経済指標カレンダーに記録されている範囲のものです。気になる指標があれば、同じ要領で自分で数え直してみるのが一番確実だと思います。