【2026年9月7日週】米雇用統計は+16.2万人で大幅上振れ|ECB・米CPIが集中する週の「リスク予算」を計算してみた

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こんにちは、瀬名ハルカです。

先週金曜(9月4日)の米雇用統計、見てましたか?私は正直「前回が▲2.3万人だったし、今回も弱いんだろうな」くらいの気持ちで構えてたんですけど、出てきた数字が完全に逆方向で、思わず「えっ」って声が出たんですよね。

そして今週(9月7日〜11日)は、火曜に日本のGDP改定値、木曜にECB理事会と米PPI、金曜に米CPIと、材料が後半に固まっています。先週の記事でも「指標が4日連続で来る」と書いたばかりなんですけど、今週も似た形なんですよ。

で、今回はいつもの日程まとめに加えて、「1週間にイベントが4本ある週、1回あたりのロットをどう決めるのが理屈に合うのか」を自分で計算してみました。計算してみたら、私が事前に思ってたのとは違う結論が出たので、そこも正直に書きます。

1. 何が起きたか:8月の米雇用統計が予想の3倍近く上振れた

まず結果から。数字はこうなりました。

項目 結果 市場予想
非農業部門雇用者数(前月比) +16.2万人 +5.3万〜5.8万人
失業率 4.1% 4.1%
平均時給(前月比) +0.3% +0.3%
平均時給(前年比) +3.1% ―

失業率と時給はほぼ予想どおりだったんですけど、雇用者数だけが予想の3倍近い数字で出てきた形なんですよね。

しかも、今回効いたのは当月の数字だけじゃないんですよ。過去2ヶ月分が両方とも上方修正されました。7月分は▲2.3万人だったものが+2.1万人へ、6月分も+2.0万人から+3.1万人へ。つまり「7月に雇用が減った」という、8月の相場をずっと支配していた前提そのものが、後から書き換えられたわけです。

注意

上の表の「市場予想」に幅があるのは、盛り方をぼかしたわけじゃなくて、私が確認した情報源の間で予想値が実際に割れていたからです(+5.3万人としているところと+5.8万人としているところがありました)。予想値は集計元によって普通にズレるので、「予想比でどれだけ上振れたか」を語るときは、自分が見ているカレンダーの予想値が何かを一度確認しておいたほうがいいと思います。

2. 市場の反応:上げてから、下げた

ドル円の動きは、素直な一本調子じゃなかったんですよね。

発表前は156円ちょうど近辺。数字が出た直後は一時156.70円台まで約0.7円上昇したものの、そこからむしろ一段安になって、22時25分時点では155.70円近辺まで戻されています。上に0.7円行ってから、その倍近く下に戻されたという形ですね。

もう少し引いて見ると、ドル円はここ数週間で介入後の高値160.39円から155.30円あたりまで下げてきた流れの途中にあります。前回の記事で「2日で5円動いた」と書いたのがまさにこの部分なんですけど、雇用統計の上振れをもってしても、その下向きの流れをひっくり返すには至らなかった、というのが金曜の結果でした。

金利先物の織り込みのほうは動いていて、9月FOMCでの利上げ織り込みは、発表前の52%前後から58%前後へ上昇したと報じられています。ちなみに雇用統計の前、9月4日の午前中時点では「利上げ確率は50%程度まで低下」と伝えられていたので、1日のうちに50%前後 → 58%前後まで戻されたという流れなんですよ。

夕暮れのトレーディングデスクに並ぶチャート画面

3. 背景:日米が両方とも「利上げ方向」を向いている、という珍しい形

ここが今週の相場を見るうえで一番ややこしいところだと思うんですけど、今は米国も日本も、次の一手が利上げ方向で語られている状態なんですよね。

普段の為替は「片方が引き締め、片方が緩和」みたいに向きが分かれるので、金利差の広がる方向が分かりやすいんですよ。でも両方が同じ向きだと、どちらがより速く動くかという相対勝負になって、材料の解釈が一段複雑になります。実際、金曜も「米雇用が強い=ドル買い」で素直に終わらなかったですよね。

POINT

今週の指標は、それ単体で完結する材料というより「9月15〜16日のFOMCと、9月17〜18日の日銀会合に向けた織り込みの材料」として見られやすい局面です。特に金曜の米CPIはFOMC直前最後の物価指標なので、注目度が高くなりやすいんですよね。なお、FOMCの結果が日本時間で出るのは9月17日の早朝で、その数時間後には日銀の会合が始まっているという日程です。

4. 今週(9月7日〜11日)の主なスケジュール

複数の情報源で確認した限りでは、今週の主な日程はこうなっています。時刻は日本時間です。

日付 時刻 イベント 市場予想
9/7(月) ― 日 7月景気先行指数(CI) ―
9/8(火) 8:50 日 4-6月期GDP(改定値) 前期比+0.4% / 年率+1.8%
9/10(木) 21:15 ECB政策金利(ラガルド総裁会見あり) 0.25%引き上げ
9/10(木) 22:00頃 米 8月PPI(卸売物価指数) ―
9/11(金) 21:30 米 8月CPI(消費者物価指数) 前月比+0.4% / コア+0.2%
9/11(金) ― 日 メジャーSQ算出日 ―

見てのとおり、月曜・火曜は静かで、木曜と金曜に一気に来るという形なんですよ。特に木曜はECBの会見と米PPIが1時間も離れていないので、ここは値動きが荒くなりやすい時間帯だと思っておいたほうがいいと思います。

なお、これらの日程・予想値はいずれも複数の情報源で一致を確認したものですが、発表時刻や予想値は直前で動くことがあります。実際に取引する前には、必ずご自身が使っている経済指標カレンダーで最新の日時を確認してください。

5. ここからが本題:イベントが4本ある週の「予算」を計算してみた

で、ここからが今回いちばん書きたかった部分です。

指標が集中する週って、記事のほとんどが「どっちに動くか」の話になるんですけど、私はそこじゃなくて「4回チャンスがあるとき、1回あたりどれだけ賭けるのが理屈に合うのか」のほうが知りたかったんですよね。方向は当てられないけど、これは計算できるので。

4つの山に等分に分けられたコイン

まず、4連敗したときに何が起きるか

1回あたりの許容損失を資金の何%に設定するかで、4連敗したあとの残高と、元の資金に戻すために必要な利益率がどう変わるかを計算しました。損失は残高に対する割合なので、負けるたびに1回の金額も小さくなる前提です。

1回あたり 単純合計 4連敗後の残高 元に戻すのに必要な利益率
1% 4% 96.1% +4.1%
2% 8% 92.2% +8.4%
3% 12% 88.5% +13.0%
5% 20% 81.5% +22.8%
10% 40% 65.6% +52.4%
20% 80% 41.0% +144.1%

1回1〜2%なら4連敗しても被害は数%で、取り返すのも数%です。ところが1回10%にすると、4連敗で資金は3分の2になり、元に戻すのに+52%も必要になるんですよね。20%まで行くと+144%、つまり残った資金を2.4倍にしないと元に戻らない。ここは完全に非線形なんですよ。

ここで、私の予想が外れました

私はもともと「4回に分けて賭けるより、1回にまとめたほうが危ない」と思ってたんですよね。分散したほうが安全だろう、と。そこで合計を8%でそろえて比べてみたんですけど。

賭け方(合計は同じ8%) 全部負けたあとの残高 必要な利益率
1回2% × 4イベント 92.24% +8.42%
1回4% × 2イベント 92.16% +8.51%
1回8% × 1イベント 92.00% +8.70%

ほとんど差がないんですよ。4回に割っても一発勝負でも、必要な回復率の差はたった0.28ポイント。分けたほうがわずかに軽いのは確かなんですけど、有効数字レベルの差でしかありませんでした。

ということは何が言えるかというと、効いているのは「1回あたり何%か」ではなく「その週に合計で何%リスクを取ったか」だけ、ということなんですよね。1回2%を守っていても、イベントが4本あれば週の合計は勝手に8%になります。「1回2%ルールを守ってるから大丈夫」という感覚が危ないのは、まさにここだと思うんですよ。

下から見上げた急な階段

だったら、週の予算から逆算すればいい

そこで順番をひっくり返します。先に「今週トータルで最大何%まで減ってもいいか」を決めて、それをイベントの本数で割る。式はこれです。

1回あたりのリスク率 = 1 −(1 − 週の許容ドローダウン)^(1 ÷ イベント本数)

今週のイベントを4本(GDP改定値・ECB・PPI・CPI)として計算するとこうなります。

週の許容ドローダウン 1回あたりのリスク率 4連敗時の残高(検算)
5% 1.27% 95.0%
10% 2.60% 90.0%
15% 3.98% 85.0%
20% 5.43% 80.0%

あとはこれをロット計算の式に流し込むだけです。資金10万円・ドル円・1ロット=10万通貨(1pips=1,000円)として、週の予算を10%(=1回2.60%=2,600円)に置いたとき、損切り幅ごとのロットはこうなります。

損切り幅 計算結果 0.01ロット刻みで
20pips 0.130ロット 0.13
30pips 0.087ロット 0.08
50pips 0.052ロット 0.05

「週予算10%」だとかなり攻めているつもりでも、資金10万円ならドル円0.05〜0.13ロットなんですよね。この小ささに納得できないなら、減らすべきはロットじゃなくて、参加するイベントの本数のほうだと私は思います。4本すべてに出るのをやめて2本に絞れば、同じ週予算10%でも1回あたりは5.13%まで上げられますから。

注意

この計算はあくまで「損切りが想定どおりの価格で約定した場合」の話です。指標発表の瞬間はスプレッドが開いたり滑ったりするので、実際の損失は計算より大きくなることがあります。指標を跨ぐときのロットの考え方は別記事で、想定変動幅からロット上限を出す話はこちらで書いているので、あわせて読んでもらえると精度が上がると思います。

6. 方向を当てる前に、取引条件を確認しておく

ここまで計算しておいて何なんですけど、上の数字が意味を持つのは「注文が想定どおりに通る」ことが前提なんですよね。木曜のECB会見と金曜のCPIみたいに材料が固まっている場面では、スプレッドの開き方や約定の質が、そのままロット計算の前提を壊しにきます。

なので、今週みたいな週こそ自分の口座の条件を先に確認しておくのがおすすめです。具体的には、①指標時にスプレッドがどこまで開くか、②ストップアウト水準が何%か、③指標前後にレバレッジの一時制限がかかる業者かどうか、の3点なんですけど、特に③は知らずに新規注文を出して弾かれると地味に効きます。Exnessの場合の挙動は指標発表前後の立ち回りの記事にまとめてあります。

条件は業者側の裁量で変わることもあるので、最新の内容は必ず公式サイトで確認してください。

注意

FX取引はレバレッジを用いた取引であり、預けた資金(元本)を上回る損失が生じる可能性があります。本記事は情報提供を目的としたものであり、投資を勧誘するものではありません。取引を行う際は自己責任・余裕資金の範囲で行い、各社公式サイトで最新のリスク説明書・規約を必ずご確認ください。

まとめ

今週のポイントを整理すると、こんな感じです。

  • 先週金曜の米雇用統計は+16.2万人と大幅に上振れ、さらに過去2ヶ月分が上方修正された(7月分は▲2.3万人→+2.1万人)
  • それでもドル円は156.70円台まで上げたあと155.70円近辺へ押し戻され、一方向にはならなかった
  • 今週は木曜のECB+米PPI、金曜の米CPIに材料が集中。翌週のFOMC(9/15〜16)と日銀会合(9/17〜18)への織り込み材料として見られやすい
  • 計算してみた結果、4回に分けても一発でも、週の合計が同じならダメージはほぼ同じだった。管理すべきは1回あたりの%ではなく週トータルの%
  • 週予算10%・イベント4本なら1回あたり2.60%。資金10万円・損切り30pipsでドル円0.08ロットという水準感

方向を当てにいく話は今回まったく書いていないんですけど、それでいいと思ってるんですよね。指標が多い週に効いてくるのは、読みの精度より「参加しすぎないこと」のほうだというのが、今回計算してみて個人的にいちばん腑に落ちた部分でした。

今週も無理のない範囲で。それではまた。