海外FXで「スワップフリー口座」と聞くと、だいたいこう身構えるんですよね。「その代わりに管理手数料を取られるんでしょ?」って。実際、多くの業者のスワップフリー(イスラム口座)は、スワップを免除する代わりに保有日数に応じた管理手数料を課したり、スプレッドをこっそり広げたりします。結局トントンでした、みたいな話も珍しくないんですよね。
で、XS.com(エックスエス)のスワップフリーを調べ始めたとき、私も最初は「管理手数料はいくらなのか」を探すつもりだったんですよ。ところが公式ページを読み込んでいくうちに、そもそも論点が違うことに気づきました。XSは追加料金を取らない代わりに、スワップフリーが効く「日数」に上限を置いているんです。
つまりXSのスワップフリーで見るべきなのは手数料じゃなくて、「その銘柄を何日持てるか」と「何曜日に建てたか」なんですよね。ここを勘違いすると、スワップフリーのつもりで持ち越したポジションにしれっとスワップが付きます。この記事ではその仕組みを整理した上で、公式には載っていない曜日別の早見表を自分で作ってみました。
XSのスワップフリーの基本スペック
まず前提から。XSは2024年6月にスワップフリーを導入していて、専用の口座タイプを開く必要がありません。既存の口座も新規の口座も自動で対象になります。この「申請不要・全口座タイプ対象」という点は、公式ページに加えて複数の日本語情報サイトでも一致していました。ここは素直にラクなんですよ。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象口座 | デモ口座を除く全ライブ口座タイプ(スタンダード / セント / プロ / エリート等) |
| 申請 | 不要。自動適用(口座ごとの個別設定は不可) |
| 対応プラットフォーム | MT4 / MT5 の両方 |
| 追加手数料 | なし(管理費・保有費・手数料の上乗せなし) |
| スプレッド | 通常口座と同条件(広げない) |
| 効く期間 | 銘柄ごとに1〜10日間の「猶予期間」まで |
| 解除 | 希望する場合はサポートデスクへ連絡 |
POINT
XSのスワップフリーは「口座」ではなく「期間」で区切られています。追加コストがゼロなのは素直に強いんですけど、その分ずっと効き続けるわけじゃない、という設計です。
銘柄別の猶予期間 — ドル円が2日しかないのが効く
ここが本題です。XS公式のスワップフリー口座ページに、銘柄ごとの猶予期間が表で載っています。そのまま整理するとこうなんですよ。
| アセットクラス | 銘柄 | 猶予期間 |
|---|---|---|
| FXメジャー | EURUSD / GBPUSD | 10日間 |
| USDJPY / AUDUSD / NZDUSD / USDCAD / USDCHF | 2日間 | |
| ゴールド | XAUUSD | 5日間 |
| XAUEUR | 2日間 ※水曜3倍は常に適用 | |
| シルバー | XAGUSD | 2日間 ※水曜3倍は常に適用 |
| 原油 | UKOIL / USOIL | 2日間 ※金曜3倍は常に適用 |
| 株価指数 | JP225 / US30 / US100 / US500 | 1日間 ※金曜3倍は常に適用 |
| 仮想通貨 | 全ペア | 2日間 |
| 株式 | 全銘柄 | 猶予なし(初日から発生) |
「最大10日間スワップフリー」という見出しだけ見ると相当おいしそうなんですけど、10日が効くのはEURUSDとGBPUSDだけなんですよね。日本人が一番触るドル円は2日です。ここ、けっこう落差があると思いません?
それと表の最後、株式に猶予期間が無いのも見落としがちです。「スワップフリー口座だから株の長期保有もコストゼロ」ではないので、そこは分けて考えた方がいいと思うんですよね。
ちなみに調べていて一つ気になったのが仮想通貨で、公式ページの表は「2日間」なのに、同じページの注記には「3日間の免除期間がある」と書かれていて食い違っています(日本語版・英語版とも同じズレ方をしていました)。どちらが現行なのかは外からは判断できないんですけど、仮想通貨で日をまたぐつもりの人は事前にサポートに確認しておくのが安全だと思います。
注意
この猶予日数は過去に変更されています。導入初期はドル円やゴールドも5日間だったものが、後に短縮された経緯が複数の情報サイトで報じられていました。公式も「猶予期間を随時変更する権利を有する」と明記しています。実際に使う前に必ず最新の表を公式で確認してください。
【自作】曜日別の早見表 — 同じドル円でも建てる曜日で4倍差が付く
で、ここからが個人的に一番おもしろかったところなんですよ。
猶予期間の数え方には、けっこうクセがあります。ポイントは3つで、①ロールオーバーはサーバー時間23:59、②猶予日数は土日もカウントされる、③FXと金属は水曜に3日分のスワップがまとめて付く(いわゆる水曜3倍デー)。この3つが噛み合うと、同じドル円・同じ猶予2日でも、建てた曜日によって得する量が全然変わるんです。
公式ページには例が4つ載っているんですけど、木曜・金曜・月曜・火曜の4パターンだけで、水曜がありません。なので同じ数え方を当てはめて水曜を自分で埋めて、5営業日ぶんの早見表にしてみました。対象は猶予2日の銘柄(USDJPY・AUDUSD・NZDUSD・USDCAD・USDCHF)です。
| 建てた曜日 (23:59前) |
猶予にカウントされる日 | 最初にスワップが付く日 | 免除される スワップ日数 |
|---|---|---|---|
| 月曜 | 月・火 | 水曜(3倍デー) | 2日分 |
| 火曜 | 火・水 | 木曜 | 4日分 |
| 水曜 | 水・木 | 金曜 | 4日分 |
| 木曜 | 木・金 | 翌週月曜 | 2日分 |
| 金曜 | 金・土 | 翌週月曜 | 1日分 |
表の右端を見てもらうと分かるんですけど、火曜・水曜に建てると4日分、金曜に建てると1日分。同じ「2日間スワップフリー」なのに4倍の差が出ます。理由はシンプルで、火曜と水曜に建てたポジションは水曜3倍デーが猶予期間の中にすっぽり収まるから。3日分のスワップをまるごと回避できるんですよね。
逆に金曜が一番割を食います。猶予2日のうち1日が土曜に消えるんですけど、土曜はそもそもロールオーバーが無い日なんですよ。つまり「何も免除されていない日」に猶予枠を1日使ってしまう格好になります。
それと月曜。免除されるのは2日分なんですが、猶予が切れた直後の最初の請求がいきなり水曜の3倍デーです。免除2日 → 請求3日分という並びになるので、体感的には一番損した気分になるパターンだと思います。
POINT
猶予2日の銘柄をスイングで持つなら、狙い目は火曜・水曜のエントリー。逆に金曜に建てて週明けまで持ち越すのは、スワップフリーの旨みがほぼ出ません。
ゴールド(XAUUSD)は猶予5日なので、月曜に建てれば月〜金がまるごと猶予に収まって、最初の請求は翌週月曜になります。水曜3倍デーも中に入るので、週内で完結させるゴールドのスイングとは相性がいいのかなと感じました。
あと表の中で「※」を付けた銘柄(XAUEUR・XAGUSD・原油・株価指数)は要注意です。ここだけは猶予期間の中にいても3倍デーだけは必ず課金されます。公式の表の脚注にひっそり書いてあるだけなので、正直かなり見落としやすいんですよ。
弱み・注意点
いいことばかり書いてもフェアじゃないので、気になった点も並べておきますね。
1つめ、口座ごとにオン・オフができません。 XSのスワップフリーは「口座単位」ではなく「顧客単位」で、対象になると保有している全口座に一律で効きます。プラススワップを取りに行くキャリー戦略の口座と、スワップフリーで短期を回す口座を分けたい、みたいな使い分けはできないんですよね。プラススワップを受け取りたい人にとっては受け取りもゼロになるので、これは普通にデメリットです。外したい場合はサポートデスクに連絡する運用になります。
2つめ、スワップ狙いの両建てはハッキリ禁止されています。 公式は「スワップの乱用」として、同一人物が複数プロフィールを作って相反するポジションを建てる内部ヘッジ、XSと他社をまたいで同じことをする外部ヘッジを名指しで挙げています。しかも該当した場合、免除済みのスワップを遡って請求した上で、その取引の累積利益を取り消す権利があると書かれています。「無料でリスクゼロの利益を取る」方向に使った瞬間アウトだと考えておくべきです。
3つめ、そもそも自分が対象かどうかは要確認です。 ここは日本語ページと英語ページで書きぶりが違っていました。日本語版は「デモを除く全ライブ口座に自動適用」とだけ書いてあるんですけど、英語版はもう少し細かくて、イスラム圏の居住者には自動、それ以外の国は「一部の対象国には自動、それ以外は申請ベース」という枠組みで説明されています。日本については、日本語の公式表記と複数の日本語情報サイトが揃って「自動適用」としているので実務上は自動で入る前提でよさそうなんですけど、自分の口座が本当にスワップフリーになっているかは、少額のポジションを一晩持ち越して明細を見るのが一番確実だと思います。私も条件を確認するときは、いきなり本番サイズで検証しないようにしています。
注意
この記事の数値は公式サイト(日本語版・英語版)と複数の情報源で確認した限りのものです。猶予期間・対象銘柄・適用条件はいずれも変更される可能性があるため、実際に取引する前に必ずXS公式サイトと利用規約で最新の内容をご確認ください。
どんな人に向いているか
まとめると、XSのスワップフリーが刺さるのはこのあたりだと思うんですよね。
- 数日単位のスイングで、マイナススワップを気にせず持ちたい人 — 特にEURUSD・GBPUSD(猶予10日)とXAUUSD(同5日)は余裕があります
- 宗教上の理由で金利の受け払いを避けたい人 — 追加手数料が乗らない点で条件はシンプルです
- 指標をまたぐ短期トレードで、コスト計算をスプレッドだけに絞りたい人
逆に高金利通貨のプラススワップを積み上げたい人には完全に不向きです。受け取りも止まりますし、口座単位でオフにもできないので。あと数週間〜数ヶ月の長期保有が前提の人も、猶予を抜けた後は普通にスワップが発生するので、恩恵は限定的なんですよね。
FX取引はレバレッジを用いた取引であり、預けた資金(元本)を上回る損失が生じる可能性があります。本記事は情報提供を目的としたものであり、投資を勧誘するものではありません。取引を行う際は自己責任・余裕資金の範囲で行い、各社公式サイトで最新のリスク説明書・規約を必ずご確認ください。
まとめ
XSのスワップフリーは、「追加料金を取らない」という一点だけ見ればかなり良心的な部類なんですよね。多くの業者が管理手数料でこっそり回収してくる中で、スプレッドも通常口座と同じというのは素直に評価できるところなんですよ。
ただ、その代わりに効く期間が銘柄ごとに区切られているのがXSの設計です。特にドル円の2日間は短いので、「スワップフリー口座だから持ち越しは無料」と思い込むと普通に請求されます。
初心者の人は、まず「自分が触る銘柄の猶予は何日か」だけ表で押さえておけば十分です。中上級者の人は、この記事の曜日別早見表を使って、火曜・水曜のエントリーで水曜3倍デーを猶予の中に飲み込む形を意識すると、同じ2日間でも取り回しがだいぶ変わってくるはずです。
私自身、調べる前は「管理手数料いくらだろう」としか考えていなかったので、論点が日数とカレンダーの方にあったのは正直意外でした。こういう「見出しの数字より脚注が本体」みたいな条件、海外FXだと本当に多いんですよね。
