FOMC・日銀の週に「出口」をどう置くか|成行・指値・ストップの損得をスプレッド拡大込みで自前計算

本記事はプロモーションを含みます。掲載している海外FX業者のリンクから口座開設等が行われた場合、当サイトが提携先企業から成果報酬を受け取ることがあります。

今週は水曜の深夜から木曜の未明にかけてFOMCの結果が出て、金曜の昼に日銀の結果が出ます。ちょうど「値が飛びやすい時間」と「スプレッドが広がりやすい時間」が重なる週なんですよね。

で、この手の話になると大体「イベント前はポジションを閉じましょう」で終わるんですけど、正直それだけだと物足りないと思うんですよ。実際には持ち越す人もいるし、持ち越さなくても「どうやって出口を作るか」は毎回考えることになる。

そこで今回は、出口の作り方を成行・指値・逆指値(ストップ)の3つに分けて、スプレッドが広がったときと窓が開いたときに、それぞれいくら余計に払うことになるのかを自分で計算してみました。

前回は「FOMCの3時間後にスワップ3倍が来る」という話で持ち越しコストの時間割を出したんですけど、あれは「持っているといくらかかるか」の話でした。今回は「出るときにいくら取られるか」の話です。ここ、意外と分けて考えられてないんですよね。

大前提:損切りは「Bid」で判定されている

まずここを押さえないと、この先の計算が全部ピンと来ないと思うので先に書きます。

MT4/MT5で決済用の逆指値(損切り)や指値(利確)を置いたとき、買いポジションはBid(売値)、売りポジションはAsk(買値)で判定されます。 両方の価格が同時に見られるわけじゃなくて、片側だけを見て発動する仕組みなんですよ。

これが何を意味するかというと、スプレッドが広がるだけで、実勢のレートがほとんど動いていなくても損切りが発動しうるということなんですね。

買いポジを持っているとき、スプレッドが広がると多くの場合Bidは下に引っ張られます。チャート(普通はBidで描かれます)の見た目上も下ヒゲとして残るんですけど、Ask側から見た「本当の相場の位置」はそこまで下がっていない、ということが起きる。これがいわゆる「ストップ狩り」と呼ばれている現象の、かなりの部分の正体だと私は思っています。

POINT

国内FXの一部には「Ask判定の逆指値」を選べる会社もあります(ロングの損切りをAsk基準で判定させる注文)。ただし海外FXのMT4/MT5には、この判定側を切り替える機能はありません。 ロングはBid、ショートはAskで固定です。だから「判定側を変える」んじゃなく「判定側が動くことを前提に置き方を決める」しかないんですよ。

実際にいくら変わるのか、計算してみた

ここから自前計算です。条件はこう置きました。

  • ドル円の買いポジション、1ロット(10万通貨)。1pips = 1,000円
  • 損切りを建値から-20pipsの位置に置いてある
  • 通常時のスプレッドは0.9pipsと仮定
  • スプレッドが広がるとき、広がった分の半分がBid側に乗ると仮定(残り半分はAsk側)

最後の仮定がポイントで、拡大分がBid側に乗った分だけ、「実勢が20pips動く前に」損切りが発動してしまうわけです。その「手前で切られる分」を計算したのがこの表。

場面 スプレッド 拡大分 Bid側に乗る分 損切りが発動する実勢の下落幅 発動後の滑り(仮定) 確定する損失
通常時(東京〜ロンドン) 0.9pips — — -20.0pips 0.2pips 20.2pips(20,200円)
早朝5〜7時 4.0pips 3.1pips 1.6pips -18.4pips 0.5pips 20.5pips(20,500円)
イベント直後(FOMC等) 8.0pips 7.1pips 3.6pips -16.4pips 3.0pips 23.0pips(23,000円)
窓が開いた(-55pipsで寄り付き) — — — 触れずに飛び越える 35.0pips 55.0pips(55,000円)

この表、私が一番「なるほど」と思ったのは4列目と5列目なんですよ。

イベント直後の行を見てください。損切りは-20pipsに置いたのに、実勢が16.4pips下がっただけで発動している。 つまり3.6pips分、本来なら生き残れていたはずの値動きで切られてるんですよね。しかもそこから3pips滑るので、確定する損失は23,000円。通常時より2,800円多い。

「たった2,800円じゃん」と思うかもしれないんですけど、これ1ロット1回あたりの話です。しかも中身は「相場を読み違えたコスト」じゃなくて「時間帯を選び違えたコスト」なんですよ。読みが合ってても取られる。そこが嫌なところなんです。

注意

上の表のスプレッド値・滑り幅・「拡大分の半分がBid側」という配分は、すべて計算を成立させるために私が置いた仮定です。実際の拡大幅は業者・口座タイプ・銘柄・その日の流動性でまったく違いますし、拡大がAsk側に偏ることもあります。数字そのものを鵜呑みにせず、ご自身の口座のスプレッドを実際に記録して、同じ計算式に入れ直してみてください。

深夜のチャートの前で成行注文を出すかどうか迷うトレーダーの手元

注文方法ごとの「強いところ・弱いところ」

じゃあ出口をどう作るか、という話に移ります。3つ(MT5なら4つ)を並べて整理したのがこれ。

出口の作り方 約定価格の保証 スプレッド拡大に対して 窓(ギャップ)に対して 約定しないリスク
成行で決済 なし 拡大分をそのまま払う 押した瞬間の価格しかない ほぼなし(※後述)
指値(利確)を置く あり(指定価格以上) 価格は守られる。ただし届きにくくなる 飛び越えれば窓開け価格で有利に約定 あり
逆指値(損切り)を置く なし(発動後は成行) 早く発動する上に滑る 窓の分だけ丸ごと滑る なし
ストップリミット(MT5のみ) あり(指値部分) 価格は守られる 置き去りにされる可能性 あり

見ての通り、「価格が保証されるもの」と「必ず約定するもの」は両立しないんですよ。 指値は価格を守る代わりに約定しないことがあるし、逆指値は必ず約定する代わりに価格を守らない。どっちを取るか、の問題なんですよね。

指値は、実は窓に強い

ここは知らない人が多いと思うんですけど、利確の指値は窓で不利にならないどころか、有利になることがあります。

例えば買いポジの利確指値を150.50円に置いていて、窓開けでいきなり150.80円から始まったとします。このとき約定するのは150.50円じゃなくて150.80円のほう。指値は「指定価格かそれより有利な価格」で約定する注文なので、飛び越えた分が丸ごとこっちの得になるんですよ。

逆に損切りの逆指値は、まったく同じ理屈で飛び越えた分が丸ごと損になります。表の4行目で滑りを35pipsと置いたのはこれです。同じ「窓」という現象なのに、指値と逆指値で真逆に効く。この非対称性、けっこう重要だと思うんですよね。

ストップリミットという選択肢(MT5だけ)

MT5にはストップリミット注文(Buy Stop Limit / Sell Stop Limit)というのがあって、これはMT4には無いんですよ。

仕組みとしては「逆指値で発動 → そこから指値を置く」という二段構え。価格を2つ指定します。発動したあと成行に化けるんじゃなくて指値になるので、滑りの下限を自分で決められるのが利点です。

ただし当然、指値になった以上は約定しないことがあります。損切り目的でこれを使うと「損切りが発動したのに約定せず、ポジションを持ったまま置き去りにされる」という最悪のパターンがあり得るんですよ。だから私は、損切りにストップリミットを使うのは基本的におすすめしません。 使うなら新規エントリー側(押し目買い・戻り売りの自動化)ですね。

成行の「許容スリッページ」をどう設定するか

成行は「ほぼ必ず約定する」と書きましたけど、ここに条件があります。MT4/MT5には許容スリッページ(最大偏差・価格誤差)の設定があって、「これ以上滑るなら約定させない」という上限を決められるんですよ。

で、ここがトレードオフなんですけど、許容幅を狭くするほど「約定しませんでした」で弾かれる確率が上がります。 MT4の場合は約定処理方式がInstantだとリクオート(値段の再提示)が返ってくることもある。

なので私の整理はこうです。

POINT

利確のときは許容幅を狭めでいい。約定しなくても「ポジションが残るだけ」で済むので。
損切り・緊急脱出のときは許容幅を広めにする。ここで約定拒否されるのが一番怖いからです。「滑るのが嫌だから狭くしておく」は、逃げたい場面で一番効いてほしい注文を止めてしまう設定なんですよね。

私がこの週にやっている、地味な手順

ここからは私自身の運用の話です。大したことはやってなくて、むしろ地味なんですけど。

まずイベントの前日に、置いてある逆指値の位置を全部書き出します。 そのうえで、上の表の考え方で「スプレッドが8pipsまで広がったら、実勢がいくら動いた時点で発動するか」を1つずつ計算し直すんですよ。ポジションによっては、思っていたより3〜4pips手前で切られる計算になることがあって、そこで初めて「あ、これ近すぎるな」と気づけるんですよね。

次に、損切りの位置は動かさない代わりに、ロットのほうを落とします。 これは以前に書いたストップアウト水準からロット上限を逆算する記事と同じ考え方で、「守る距離」を削るんじゃなくて「1pipsあたりの重さ」を削るほうが精神衛生上もいいんですよ。損切りを遠ざけると結局リスクは減ってないので。

あとこれは完全に好みの話なんですけど、結果発表の瞬間そのものは見ないようにしています。 見ていると絶対に成行を押したくなるんですよね。で、押した瞬間がまさにスプレッドが一番広がっているタイミングだったりする。実際に何度か試して、「見て押す」より「事前に置いて寝る」ほうが手応えとしては良かったので、今はそうしています。あくまで個人の感触ですけど。

じゃあ業者側には何を求めればいいのか

ここまで全部「自分の注文の置き方」の話でしたけど、そもそも拡大幅そのものが小さければ、ここまで神経を使わなくていいわけです。上の表の「拡大分」の欄が小さくなれば、手前で切られる分もそのまま小さくなりますからね。

なので業者を見るときに私が気にしているのは、平常時の最狭スプレッドより「広がったときにどこまで広がるか」のほうです。ここは各社が大々的に宣伝する数字じゃないので、正直デモか小ロットで自分で記録するしかないんですよ。

その意味でExnessは、低スプレッド帯の口座タイプが用意されていて、スキャルピング層の利用が多いぶん拡大時の挙動についての情報も比較的集めやすい部類だと感じています。ただし指標発表の前後は銘柄によってレバレッジが一時的に制限されることがあるので、そこは事前に条件を確認しておいたほうがいいですね(このあたりは指標発表前後の立ち回りの記事で詳しく書いています)。

もう1つ、ボーナスを使って証拠金に余裕を持たせておくという考え方もあります。拡大や滑りで想定外に削られたときに、口座全体の耐久力があるかどうかで結果が変わってくるので。そういう意味ではXM Tradingのようにボーナス制度が手厚いところを併用するのもアリだと思うんですよね。

ちなみに、ここに書いた業者ごとの条件は時期によって変わります。複数の情報源で確認した限りでは上記の傾向で間違いなさそうですが、最新の数値や条件は必ず公式サイトでご確認ください。

FX取引はレバレッジを用いた取引であり、預けた資金(元本)を上回る損失が生じる可能性があります。本記事は情報提供を目的としたものであり、投資を勧誘するものではありません。取引を行う際は自己責任・余裕資金の範囲で行い、各社公式サイトで最新のリスク説明書・規約を必ずご確認ください。

まとめ:表にすると、判断がだいぶ楽になる

長くなったので、今回の結論だけ並べます。

  • 損切り(逆指値)は買いポジならBid判定。スプレッドが広がるだけで、実勢が動く前に発動しうる
  • 今回の仮定だと、イベント直後は実勢が16.4pips下がった時点で-20pipsの損切りが発動し、滑りも乗って確定損失は23,000円(通常時比+2,800円)
  • 窓は指値と逆指値で真逆に効く。 利確指値は飛び越えた分が得、損切り逆指値は飛び越えた分が丸ごと損
  • 価格の保証と確実な約定は両立しない。利確は価格優先、損切りは約定優先で許容スリッページを使い分ける
  • 損切りが近すぎると気づいたら、損切りを遠ざけるんじゃなくロットを落とす

正直、この計算をやる前の私は「イベントのときは滑るから怖い」くらいのふわっとした認識だったんですよ。でも表にしてみたら、怖いのは滑りそのものより「手前で切られること」のほうだったというのが分かって、置き方が変わりました。

今週はちょうどFOMCと日銀が並んでいます。ポジションを持ち越すかどうかはそれぞれの判断ですけど、持ち越すなら「置いてある逆指値が、スプレッド拡大時に実質どこになるのか」だけは一度計算しておくと、当日の心臓に優しいと思いますよ。

注意

本記事の数値はすべて仮定を置いた自前計算であり、特定の業者の実測スプレッドではありません。また相場の方向性についての予測は一切していません。 FOMC・日銀の結果がどう出るかは誰にも分からないので、そこに賭けるのではなく「どちらに出ても耐えられる置き方をする」という趣旨の記事として読んでください。